「ものすごく、自分は空っぽだ」と感じていました(安藤優子)

クリッピングから
毎日新聞2024年4月6日朝刊
「くらしナビ ーライフスタイルー」
「やりたいこと」と向き合っては(安藤優子


  「さまざまな場所に取材に行き、得た情報を発信する。
  アウトプットが多い仕事で
  『ものすごく、自分は空っぽだ』と感じていました。
  そして、どこかで何かをインプットしたいと、
  強く思うようになりました」


  40代半ばで、米ハーバード大の大学院の入学試験に合格した。
  メインキャスターを降板し、留学するつもりだったが、
  契約していたテレビ局から休暇の許可をもらえず
  「ずっと、うつうつとしていました」。


  それならば、
  と番組の出演を続けながら国内で学ぶことを決意。
  2005年4月、上智大の大学院に通い始めた。
  ニュースキャスターであり、
  大学院生でもある安藤さんの1日は、
  とにかく目まぐるしかった。


  起床は午前5時。
  1時間かけて英文の論文を勉強。
  食事やイヌの散歩をすませ、午前8時半には大学院に着く。
  昼食を取る間もなく、
  午後1時には、テレビ局でニュース番組の会議が始まる。
  断続的に行われる打ち合わせの合間を見つけ、
  弁当で空腹を満たした。


  午後5時から2時間、生放送の番組に出演。
  番組内容についての話し合いを終え、
  帰宅するのは午後8時ごろ。
  犬の世話や夕食、入浴、読書などをして、
  午前0時に就寝するという日々だ。


  「仕事も学業も両方とも優先したい。しなくちゃいけない」。
  強い決意を実行に移すため、工夫したのは、時間の使い方だった。
  「家に帰ると、家事や仕事など勉強以外にすべきことがでてきて、
  集中できないんですね。
  だから、講義前や仕事帰りに大学の図書館に行って、
  1時間だけ集中する時間を作ることを心掛けていました」


  修士課程で3年、博士課程で5年、
  日本の女性国会議員の少なさを研究した博士論文の執筆で4年の計12年、
  大学院に通った安藤さん。
  社会人として働いた経験があったからこそ、
  深い学びができたという。
  (略)


  政府は「人への投資」として、
  リスキリングを進める個人や企業への助成を拡充しており、
  社会の変化に適応し新たなスキルを獲得することが推奨されている。
  しかし、安藤さんはリスキリングを
  「狭い意味で捉えられすぎている」としたうえで、こう説く。
  「陶芸や手芸などの趣味でも『やっぱり、やりたい』と思うことに、
  今一度、向き合ってみたらどうでしょうか」
  (略)

                           【御園生枝理】






この記事を読み、
かつて有働由美子さんがNHKを退職したときのコメントに
池上彰さんが辛口のエールを贈ったことを思い出した。
ネットで見つけた記事から引用する。


  ジャーナリストの池上彰さんが(2018年4月)6日、
  東京都内で行われたテレビ東京の新番組
  「日曜ゴールデンの地上ワールド『池上彰の現代史を歩く』
  Walking through Modern History~ニュースと現代史を結ぶ旅~」の会見に出席。


  (2018年)3月31日付でNHKを退職した有働由美子さんについて、
  NHK出身の池上さんは
  「ジャーナリストとしては、
  そんな簡単にジャーナリストなんて自称してほしくないなと受け止めました」
  と厳しいエールを送った。 


  有働さんは、退職を報告した3月31日付のファクスで
  「今後、有働由美子という一ジャーナリストとして
  NHKの番組に参加できるよう精進してまいります」とつづっていた。
  また一部ではすでにNHKへの出演が決まっていると報じられている。

 
  池上さんは厳しいエールを送った一方で、
  「今回はNHKを辞めて、そのままNHKに出演できている。
  私は、NHKを辞めて、民放で仕事をしながら
  NHKにも出られるようになったので、NHKの許容が変わった。
  NHKが変わるきっかけというか。
  NHKの中で有働さんがこれまでのアナウンサーにない幅を広げ、
  いろいろやったことが認められたんだと思う」
  と有働さんの実績をたたえた。