クリッピングから
NHKテレビテキスト「100分de名著」2015年2月
メアリ・シェリー『フランケンシュタイン』(講師:廣野由美子)
若松英輔、秋満吉彦の対談「名著とともに歩んだ10年」
(Eテレ「100分de名著」サイト掲載)を読んで
僕が一番惹かれたのがこの作品だった。
メアリ・シェリー『フランケンシュタイン』 2015年2月 (100分 de 名著)
- 発売日: 2015/01/26
- メディア: ムック
「はじめにー『フランケンシュタイン』との出会い」から
廣野の文章を引用する。
私が大学院の博士課程に在籍していたころのことです。
客員講師として招かれた若いイギリス人研究者が、こう言いました。
「『フランケンシュタイン』は玉葱(たまねぎ)のような作品で、
皮をむくと、次々と内側から物語が出てくる」。
この講義の内容については、他のことはあまり覚えていませんが、
"Frankenstein is a novel like an onion." という言葉だけは、
いまも耳に残っています。
この表現を聞いた瞬間、「これは文学的に価値のある小説なのだ」と、
私は直観的に悟りました。
そして早速、原作を読むことにしたのです。
(略)
数年後、私が山口大学に教員として赴任し、
最初の大学院の授業ではりきって取り上げたのが、
この『フランケンシュタイン』です。
原書の英語はなかなか難解で、
学生たちは予習に苦労したようですが、
読み進めるうちに、彼らもしだいに作品に魅せられていきました。
(略)
以後も、研究者として何度もこの作品と出会い直す契機が訪れました。
京都大学に転任し、
小説の読み方や批評理論について講じる授業を行ったときにも、
材料として頭に浮かんだのが『フランケンシュタイン』で、
この講義はのちに『批評理論入門ー「フランケンシュタイン」解剖講義』
(2005年、中公新書)という本になりました。
(略)
『フランケンシュタイン』は独創的なストーリーを軸に、
現代にも通じるさまざまな問題を投げかけてくる万華鏡のような作品です。
みなさんにとっても、この番組とテキストが
『フランケンシュタイン』との有意義な出会い、
または再会のきっかけとなれば幸いです。
(pp.4-7)
批評理論入門―『フランケンシュタイン』解剖講義 (中公新書)
- 作者:廣野 由美子
- 発売日: 2005/03/01
- メディア: 新書
- 作者:メアリー シェリー
- 発売日: 2014/12/22
- メディア: 文庫
Frankenstein (Penguin Classics)
- 作者:Shelley, Mary
- 発売日: 2003/04/01
- メディア: ペーパーバック