加藤陽子『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(2009)


べらぼうに面白かった。
加藤陽子『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(2009) を読む。


それでも、日本人は「戦争」を選んだ

それでも、日本人は「戦争」を選んだ


1930年代の外交と軍事を専門とする加藤が
2007年の冬休みの5日間を使って
栄光学園中高生17人に講義した日本近現代史が元になっている。
題名の通り近現代に日本が選択した5つの戦争を軸に語っていく。
日清戦争日露戦争第一次世界大戦満州事変と日中戦争
太平洋戦争である。



歴史の「なぜ」を史料を読み込みながら
生徒たちと一緒に読み解いていく過程が抜群に面白いのだ。
そのとき、日本人が「戦争」を選んだのはどうしてだったのか。
これまでの歴史の勉強では食い足りなかった、その文脈に迫っていく。
第一線の学者が高校生に向けて書く本気の入門書というのは
たいがいの大人にとっても栄養のある書物になる。
入門書と言いながら研究の最新成果も取り入れているから心強い。



本書はS駅ビルに入っている三省堂書店
ぶらぶらしているときに目にとまった。
第9回小林秀雄賞受賞作であることと
養老孟司内田樹橋本治ら曲者たちが絶賛する腰巻きの文に引かれた。
オンラインブックショップを覗いているだけだったら
きっとこの本の存在に僕は気づかなかっただろう。



本書が受賞した小林秀雄賞は
日本語によって新しい世界像を呈示した
ノンフィクション作品に与えられる。
加藤が受賞した2009年の審査員は以下の5名。


   加藤典洋
   関川夏央
   橋本治
   堀江敏幸
   養老孟司


小澤征爾さんと、音楽について話をする

小澤征爾さんと、音楽について話をする


昨日8月31日、第11回小林秀雄賞が決定した。
受賞作は小澤征爾/村上春樹
小澤征爾さんと、音楽について話をする』であった。


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ブロガーharuharuyさんがこの本の書評を書きました。
リンクしておきます。


(文中敬称略)