べらぼうに面白かった。
加藤陽子『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(2009) を読む。
- 作者: 加藤陽子
- 出版社/メーカー: 朝日出版社
- 発売日: 2009/07/29
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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1930年代の外交と軍事を専門とする加藤が
2007年の冬休みの5日間を使って
栄光学園中高生17人に講義した日本近現代史が元になっている。
題名の通り近現代に日本が選択した5つの戦争を軸に語っていく。
日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、満州事変と日中戦争、
太平洋戦争である。
歴史の「なぜ」を史料を読み込みながら
生徒たちと一緒に読み解いていく過程が抜群に面白いのだ。
そのとき、日本人が「戦争」を選んだのはどうしてだったのか。
これまでの歴史の勉強では食い足りなかった、その文脈に迫っていく。
第一線の学者が高校生に向けて書く本気の入門書というのは
たいがいの大人にとっても栄養のある書物になる。
入門書と言いながら研究の最新成果も取り入れているから心強い。
本書はS駅ビルに入っている三省堂書店を
ぶらぶらしているときに目にとまった。
第9回小林秀雄賞受賞作であることと
養老孟司、内田樹、橋本治ら曲者たちが絶賛する腰巻きの文に引かれた。
オンラインブックショップを覗いているだけだったら
きっとこの本の存在に僕は気づかなかっただろう。
本書が受賞した小林秀雄賞は
日本語によって新しい世界像を呈示した
ノンフィクション作品に与えられる。
加藤が受賞した2009年の審査員は以下の5名。
- 作者: 小澤征爾,村上春樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/11/30
- メディア: 単行本
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昨日8月31日、第11回小林秀雄賞が決定した。
受賞作は小澤征爾/村上春樹
『小澤征爾さんと、音楽について話をする』であった。
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ブロガーharuharuyさんがこの本の書評を書きました。
リンクしておきます。
(文中敬称略)