「人間が考えない場所」を提示する


スクラップブックから。
讀賣新聞2017年4月7日朝刊。



読売ICTフォーラム2017基調講演。
将棋棋士羽生善治の言葉。


   人間は連続性や規則性によって記憶し、理解する。
   AIにそういう面は基本的になく、
   1手進んだら、それまでの過去はなかったかのように判断を下す。


   このやり方には良い面もあり、
   人間が「考えない場所」を提示してくれる。
   ここ数年、ソフトが見つけた新手が結構あり、
   これらは人間ならではの思い込みや先入観を
   取り除いたものから生まれた。


   こうして生み出されたものを
   人間的な方法で理解し、
   人間の能力を伸ばしていくことが
   問われているのではないか。



「AIは囲碁を指しているという認識はない」
GoogleのAlpha Go開発者がカンヌで話していた。
将棋もきっと同じだろう。
だから「1手進んだら、それまでの過去はなかったかの
ように判断を下す」ことができるのだ。


「人間が考えない場所」を提示するAIのアウトプットを
人間的な方法で理解し、
人間の能力を伸ばすことを提言する。
AIも凄いが、羽生はその上をめざす。
将棋、囲碁の世界は達人たちとAIとの切磋琢磨、協同作業で
さらに進化するのではないか。
楽しみだ。



(文中敬称略)