オランダの在宅ケアチーム「ビュートゾルフ」


スクラップブックから
朝日新聞2018年10月15日朝刊
ご近所チームで在宅ケア
オランダ 看護師らが少人数で運営


オランダの在宅ケアの試みが面白かった。
「ビュートゾルフ」と呼ばれる。


   ビュートゾル
   オランダで900チーム以上が活動する在宅ケア組織
   看護師4人のチームが2006年に始めた訪問看護が始まり。
   介護から看護までの一体的なケアを、
   地域に根ざした形で提供することを目指している。
   地域の家庭医や理学療法士とも必要に応じて連携する。



(到来物の果実バラード。バートレットとラ・フランスの交配種)


   ビュートゾルフは、
   日本語で「近所のケア」を意味する財団法人だ。
   おおむね通勤が15分以内の近隣に暮らす看護師らが
   最大12人でチームをつくり、
   50人ほどの利用者の介護から看護までを担う。
   緊急時にも駆けつけやすい。
   誕生の背景には、1990年代にオランダで急速に進んだ
   医療・介護サービスの大規模化、効率化の反省がある。
   (略)


   ビュートゾルフの特徴の一つが、
   「管理職」がいないこと。
   全員が運営と方針に責任を持つ自律したチームだ。
   ケアの内容を決める権限も看護師一人ひとりに委ねられており、
   それが働き手のやる気にもつながっているようだ。
   (略)


   全員に配られたタブレット端末も重要な役割を果たす。
   内部のSNSを通じたメンバー同士の情報交換はもちろん、
   日々のケアの記録や分析、本部とのやり取りもこなせる。
   複雑な保険請求などの事務手続きは、
   ウェブを通じて本部が行うので、各チームに事務職員はいない。
   (略)


   一つ一つのチームは小さくても全職員は約1万4千人に上り、
   オランダ国内の調査でこれまで5回、
   職員満足度の最優秀賞を取っている。
   ビュートゾルフの躍進が、
   ケア分野で働くことに注目を集めるきっかけにもなったという。
   このような仕組みはほかの国にも広がっており、
   20ヶ国以上で導入や準備が進む。
   (略)
                       (松浦祐子)



記事本文中、
71歳のカタリーナ・エイクさんの言葉が印象深い。


   「この年になっても看護師として働けるのは楽しい」


カタリーナさんも配布されたタブレットを使いこなしている。


日本で同じような方法が成立するかどうかの鍵は
仕組みの問題もさることながら、
会議の司会を務めたトース・メストロムさん(62)の言葉に
あるように思う。


   「上から決められたやり方ではなく、
   患者に必要だと思うケアを自分たちで判断して
   提供できるのがよいところだ」


上(権威者)から決められるのでなく、
必要だと思うことを自分で判断して他者に提供できるかどうか。
勤務先の20代30代の社員にも
この心理的ハードルが大きいことを日々観察・経験しているからだ。