首相はどこで誰に発言したのか


昨日のスクラップブックから。
朝日新聞2017年6月30日朝刊。
月イチ連載「池上彰の新聞ななめ読み」
改憲めぐる首相発言 記事に透ける近さと熱」



   安倍晋三首相は6月24日、
   自民党としての憲法改正案を年内に提出したい
   という考えを明らかにしました。
   翌日の毎日新聞朝刊には、
   次のような記事が掲載されています。


   <安倍晋三首相(自民党総裁)は24日、神戸市で講演し、
   憲法改正について
   「臨時国会が終わる前に、
   衆参両院の憲法審査会に自民党案を提出したい」と述べ、
   秋から年内までを想定する臨時国会の会期中に、
   党改憲案を提出する方針を示した。
   首相が同党案の提出時期を明言したのは初めて>
   「自民党総裁」という肩書がついています。
   首相ではなく自民党総裁としての発言だったからでしょう。
   (中略)


   この講演は神戸市内で行われたそうですが、
   どんな会合だったのか、記事には書かれていません。
   (中略)



   ところが、朝日新聞を読むと、
   どのような講演会だったのか、はっきりします。
   <産経新聞の主張に賛同する任意団体
   「神戸『正論』懇話会」主催の講演会で語った>
   と明記しているからです。
   (中略)


   では、産経新聞を見ましょう。
   1面トップの大きな扱いです。
   (中略)


   <首相がここまで強い決意を示したのは、
   加計学園問題や若手議員の不祥事などで、
   内閣支持率が急落する中、
   憲法改正という自民党の党是を掲げることで、
   保守勢力の奮起を促し、
   結集を呼びかけたいとの思いがある>


   なるほど。
   安倍首相の思いを代弁してくれています。
   毎日新聞の分析が冷静だったのに対し、
   こちらはずいぶんと熱を込められています。
   自社の関連行事に首相が足を運んでくれた。
   そんな感謝の気持ちもにじんでいるように思えます。




(首相が「熟読してください」と勧める読売の講演会の扱いは?
池上は丁寧に他紙と比較・解説している)


池上がいつも言っているように
新聞は複数読んで自分が考える材料にするものだ
ということがよく分かる。
(僕は会社、図書館で複数紙を読んで比較している)
首相のこの講演では野党への批判はあったが、
謙虚に反省するという内容ではなかった。
身内意識が発言に現れたのか。


(二人の新聞の読み方が勉強になる)
(文中敬称略)