クリッピングから
朝日新聞2020年8月28日朝刊
池上彰の新聞ななめ読み
首相の体調は 「公益」に資する会見を
28日17時からの安倍首相の記者会見を見越して
池上さんは今月のテーマを選んでいました。
さすがです。
おそらくこのコラムが掲載される金曜日に、
安倍首相の記者会見があるはずです。
ここで何が語られるのか。
今週、私は名古屋の大学での集中講義のため名古屋に滞在しています。
そこで名古屋本社発行の新聞各紙を読みながら
首相の体調を注視してきました。
安倍首相は8月24日に滞在在職日数が歴代最長になりましたが、
異変が起きています。
<歴史的な記録更新にも、いまの首相官邸内にお祝いムードはない>
と朝日は8月24日付朝刊で書いています。
<最近になって首相が出席する予定だった25日の自民党役員会は中止。
27日に予定されていた首相と党幹部らによる
在職記録更新の「お祝い会」も延期された>
こうなれば首相の健康状態に注目が集まることは避けられません。
(略)
だからといって、「首相の健康状態は国家機密だ」と
正確な情報が伝わらないのも独裁国家ではあるまいし、それでは困るのです。
安倍首相の体調に関し、日経新聞は24日付朝刊でこう書きます。
<首相自身は健康不安を払拭(ふっしょく)したい思いがあり、
周囲に「逃げたと思われたくない」と漏らす。
毎年恒例である河口湖の別荘での静養に消極的で、
1泊2日で検査入院すべきだとの周辺の進言にも
「泊まったら騒ぎになる」と日帰りで済ませた>
政治家は、とりわけ首相の立場はつらいですね。
でも、政治家が政治に命をかけるのは当たり前だ、
という厳しい声もあります。
(略)
毎日新聞の古賀攻・専門編集委員は、
26日付朝刊のコラム「水説」で、こう書きました。
<病は究極の個人情報だが、行政トップの体調の異変は当てはまらない。
不確かな情報はむしろ「公益」に反する>
本日、「公益」に資する記者会見をお待ちしています。
僕はこのコラムを、
安倍首相記者会見をライブ配信で視聴した後に読みました。
新聞を読むチカラをつけていくと、
このレベルの「予測」までは可能であることがよく分かりました。
池上さんが首相会見をどう受け止めたのか。
今度はその意見が聴いてみたくなります。
優秀なジャーナリストというものは読者を掴んで逃がさない、
実に抜け目のない存在ですね。
(ご覧になれなかった方はこちらからどうぞ)
(俄然タイムリーな一冊となりました)