スクラップブックから
朝日新聞2018年9月12日朝刊
語る—人生の贈りもの—
死んだらすぐ取材 気に入らない
詩人 谷川俊太郎 (第13回)
《2017年にはもう一人の親友、
詩人の大岡信さんが死去した》
(略)
《亡くなったときは大岡さんと向き合いたいと
メディアの取材を断り、後日、朝日新聞に追悼詩を寄せた》
人が死んだらすぐに誰かが何かコメントするという
新聞の習慣が気に入らないんだよね。
しょうがないんだけど。
人の死を悼む時間って昔はあったわけですけど、
今のメディアをそれを許さない。
すぐ忘れちゃうし。
大岡と武満(引用者注:徹。1996年死去)
という親友については、やはり時間が必要でしたね。
(略)
だから、妻や友人たちを思い出すということは、
彼らが、俗世間で生きているぼくたちとは違う形で
生きているんだとと思っているし、
そう思いたいんですよ。
(聞き手・赤田康和)
出来事をタイムリーに伝えるのが新聞の役目。
一方、人の死を悼む時間を許さないメディアを批判する谷川さん。
直後の取材を断り、後日追悼詩を書いた詩人にも
それを掲載した朝日にも、制約の中での決断があったんですね。