冬菫ほどの記憶の君なれば(岩元秀人)

クリッピングから
讀賣新聞2020年1月27日
読売歌壇(俵万智選)


今週は優秀作から
印象に残った句を引用してみます。


  木枯らしに落ち葉がざざーっと飛んでいく
  うさぎのパン屋がありそうな道


           仙台市 石川初子


うさぎが経営している
個人店のパン屋なんですかね。
不思議な光景です。
ホントにあったらちょっと怖い気もする。


  冬菫ほどの記憶の君なれば
  内ポケットに入れて街ゆく


          垂水市 岩元秀人


福岡で誕生したバンド・チューリップにも
離れて暮らすことになった主人公が
君をポケットに入れて連れて行きたいと歌う名曲がありましたね。


  それぞれの純度にゆらぐまなざしに
  『ごんぎつね』解く冬の教室


            足利市 坂庭悦子


こどもたちの熱心な様子、
それを導く先生の姿が浮かんできました。
寒い教室かもしれないのに、熱気が伝わってくるようです。


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句の言葉を追ううちに
読者の心の中に風景が浮かんでくるのが面白いと思います。


考える短歌―作る手ほどき、読む技術 (新潮新書)

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  • 作者:俵 万智
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2004/09/01
  • メディア: 新書