たくさん読んで聞いて、いい表現を蓄積してください(佐藤昭弘)

クリッピングから
NHKテキスト「実践ビジネス英語」2020年11月号
特別企画/インタビュー
The Writers' Workshop講師 佐藤昭弘さん


僕にとって「いま、ぜひ読んでみたい!」というインタビューだった。
編集部の特別企画に感謝と拍手!


  英語で記事を書いて、世界の人に読んでもらいたい——
  その思いがキャリアの原点


f:id:yukionakayama:20201020113817p:plain:w650
                                (撮影/海野惶世)


  The Writers' Workshopで長年講師を務めている佐藤昭弘先生は、
  とても気さくで笑顔を絶やさない。
  そして、政治・歴史・文学・映画・旅行など、
  さまざまなジャンルの興味深い話題が詰まった引き出しを持っている。
  そんな佐藤先生に、英語を吸収してきた体験や
  連載を続ける中で感じてきたことをうかがった。


  (略)
  The Writers' Workshopに取り組むようになって、
  「日本語を英語にするのは難しい」と痛感しましたね。
  今も難しいですよ。
  読者の皆さんは「この原稿を仕上げるのは大変だ」
  と感じているかもしれませんが、僕も同じです。


  参考訳に使ういい表現がないかなぁと、頭の片隅でずっと考えています。
  連載開始当初から、応募する方たちの英語のレベルが高いので、
  僕もいい英語にしなくてはと一生懸命でしたし、今もそうです(笑)。
  (略)


  僕は文章がいいと引き込まれますね。
  たとえば、イギリスのジャーナリストであり作家である
  エドワード・クランクショーのThe Shadow of the Winter Palace
  ロシア革命についての著作なんですが、文章がすばらしいんです。


  この本を読むまでロシア革命にそれほど興味はなかったのですが、
  もっと知りたくなりました。
  こういう本の読み方はちょっと変かもしれませんけれど。
  とにかくいい文章を読むのが好きなんですね。
  ゆっくり味わって読みます。
  (略)


The Shadow Of The Winter Palace

The Shadow Of The Winter Palace


  それとね、映画やドラマを見たり、テレビの報道番組などを見たりするときは、
  脇にメモ帳を置いておいて、気になる表現があったら書き留めています。
  英語をたくさん読んで、たくさん聞いて、いい表現を蓄積してください。
  それが英語を学ぶ方へのアドバイスです。
  持っていないものは出せないですからね。
  (略)


  「まだ足りぬ踊りおどりてあの世まで」は
  歌舞伎役者、六代目尾上菊五郎の辞世の句ですけれど、
  ときどきふと心に浮かびます。
  歌舞伎の世界とは違うので、おこがましい気はしますが、
  英語のいい文を書くというのも奥が深いことだし、終わりのないことです。
  そして僕にとっては、何より楽しいことなんです。



    佐藤昭弘(さとう あきひろ)
    本誌(引用者注:NHKテキスト『実践ビジネス英語』)の連載
    The Writers' Workshop を2003年より執筆。
    青山学院大学卒業後、朝日イブニングニュース社に入社。
    3年後にAP通信東京支局へ転身した後、
    アメリカでワシントン・ポスト紙、UPI通信、ダウ・ジョーンズ社に勤務した。
    2005年から「NHKワールド」英語ニュース番組のライター、リライターを務めてきた。

                                  (取材/編集部)



佐藤昭先生の略歴を見ていると、
青山学院大学」「朝日イブニングニュース」が
実践ビジネス英語の番組を担当する杉田敏先生と共通している。
その後、アメリカのジャーナリズムで活躍するのも同じだ。
お二人は知り合いなのかな?


[追記] 2020.10.21

杉田敏先生のブログを読んでいたら、
佐藤昭弘先生との接点が見つかりました。
お二人が務めていた朝日イブニングニュースで、
杉田先生の一期上に佐藤昭先生がいたのでした。


f:id:yukionakayama:20201021115225j:plain:w400
(お二人のツーショット。同ブログより拝借)


以下、杉田先生が書いたブログ記事を引用します。


   (2020年9月3日付)
  今はもうなくなってしまった英字新聞のAsahi Evening News(AEN)は、
  1966年に私が青山学院を卒業してから入った最初の職場です。
  何も知らない未熟な若者に、自由に記事を書かせてくれたり、
  海外取材に行かせてくれたりと、
  6年間の在籍中には本当によくしてもらったことを今でも感謝しています。


  AENは、朝日新聞創刊75周年記念事業の一環として1954年に創刊。
  2001年にInternational Herald Tribune/The Asahi Shimbun(ヘラルド朝日)に
  引き継がれたのですが、2011年に廃刊になったものです。


  現在、日本で英字新聞として発行されているのは
  独立系のThe Japan Timesと
  読売新聞社発行のThe Japan Newsだけになってしまいました。


  AENが引き続き発行されていれば50周年を迎えるはずだった2004年に、
  かつて職場を共にした同僚と旧交を温め、
  近況を語る場として「AEN親睦会」が始まりました。
  毎年6月に、外国人記者クラブ(FCCJ)で同窓会が開かれていたのですが、
  その間メンバーの高齢化も進み、今年はコロナ禍で開催もできず、
  親睦会そのものを解散するというお知らせを先ほどいただきました。
  とても残念ですが、代表幹事の駒場弘一さんほか幹事の皆様、
  永い間ありがとうございました。


  2018年の15回目の親睦会には、先輩・後輩約60名が集まりました。
  「実践ビジネス英語」テキストの巻末の
  The Writers’ Workshopを担当していただいている
  佐藤昭弘さん(写真右)も一期先輩の同窓生です。
  私は、PRESSと書かれた当時の腕章を腕にまいています。