輪渡颯介『悪霊じいちゃん風雲録』(早川書房、2020)

怖い物語は苦手ですが、これは大丈夫でした。
帯に「笑顔と苦笑がこぼれるユーモア悪霊時代小説」とあります。
輪渡颯介(わたり そうすけ)『悪霊じいちゃん風雲録』
早川書房、2020)を読む。



腰巻には続けてこう書いてありました。


  おじいちゃんが幽霊になったけれど元気すぎて困ります


  薬種屋の息子・伊勢次と貧乏御家人の七男・文七郎。
  ともにおじいちゃんの幽霊に無理難題をおっかぶされて……



実は本書、NHKテキスト「ラジオビジネス英語」連載中の
「The Writers' Workshop」2021年9月号問題文の出典です。
講師の佐藤昭弘先生が二か月ごとにテーマを定め、
さまざまな本・雑誌などから出題します。
9月は先月の小泉八雲に続いて「怪談」が取り上げられました。


問題文はそれ自体で完結しているので原典まで見なくても応募できますが、
どんな英文にするかトーンを決める参考になるかなと考えて読んでいます。
2020年10月号で「努力賞」をいただいたので、
次は「佳作」以上の入選めざして、方法論をあれこれ試しているところです。


硬い本から、柔らかい本まで、
実にさまざまなジャンルの読書を佐藤先生がなさっていることが
出題傾向からうかがえます。
自分が選ぶ本とは別に、
信頼するどなたかが選んだ本を虚心坦懐に読んでみることは
視野を広げる役にも立つのではないか……
そうなったらいいな、と楽しみながら続けている習慣です。


本書は就寝前のひとときにぴったりでした。
ユーモア小説なので眠れなくなることもなく、
夜中にトイレに行く時も幽霊と出会う心配をすることはありませんでした。