端数はどこに仕舞えば良いの(芍薬)

クリッピングから
讀賣新聞2021年8月30日朝刊
読売歌壇(俵万智選)


今週も好きな歌3首、抜き書きします。


  梅雨明けを急かすみたいに軒下の
  風鈴のとめどない舌打ち

         大阪市 toron*


    【評】夏を呼ぶ風鈴の音を、
       マイナス評価でとらえたところが新鮮だ。
       「風鈴のとめ/どない舌打ち」という
       ぎくしゃくした句またがりが、内容とぴったり。


  タクシーの後部座席に眠るから
  どこでもドアとほとんど同じ

        守口市 小杉なんぎん


くたびれきったドラえもんですね。
僕も会社員時代に似たような時期がありました。


  「割り切れば愉しいよ」ってオリンピック、
  端数はどこに仕舞えば良いの

        千葉市 芍薬


「端数」という言葉が新鮮に響きました。
人間の気持ちの中には
あちこちに端数が転がっている気がします。


(下線部クリックで同じ作者の別の歌が読めます)


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