しっかり握る夏の雲梯(うんてい)(中込有美)

クリッピングから
讀賣新聞2020年11月2日朝刊
読売歌壇(俵万智選)


今週も好きな歌3首、抜き書きしてみます。


  つないだら注意をされる手のひらで
  しっかり握る夏の雲梯

        さいたま市 中込有美


     【評】コロナ禍で、手をつなぐことさえ禁じられる日常が続く。
        子ども達(たち)にはまことに気の毒だが、
        希望を感じさせてくれる力強い下の句だ。
        上を向き、前へ前へ進んでほしい。
        雲梯(うんてい)の雲の字が、夏と響き合うのも見どころ。


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(遊具の雲梯。Wikipediaより引用)


雲梯(うんてい)の意味が分からなくて辞書で引いてみました。
そうか、子ども達のあの遊具、雲梯と呼ぶのですね。
雲の梯子。
いい名前だなぁ。
万智さんが「上を向き、前へ前へ進んでほしい」と【評】に書いたのも、
雲梯の遊び方を連想して納得しました。


  辞書にあることば辞書にはないことば
  どちらの力も借りて詠む歌

            堺市 一條智美


歌作りの基本を詠んでいるようで、
それ以上の奥行きを行間から感じます。
「どちらの力も借りて」が素敵だな。


  白髪だけフラッシュピンクに染まるのを
  色付き素麺の如く愛する

           四日市市 群青更紗


わかります、わかります、この感じ。
近所の美容室でへナ染めをしてもらうようになって、
白髪が鮮やかに染まるのが鏡を見てわかるようになりました。
僕の場合、色付き素麺の量が年々増えてますけどね。


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自分の好きな歌をこうして抜き書きしていると、
万智さんの短歌教室コミュニティの仲間に入れてもらえたようで
なんだか楽しいです。
下線部クリックでデジタルノートに書き留めた
同じ作者の別の歌が読めます。


てにをは俳句・短歌辞典

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  • 発売日: 2020/08/28
  • メディア: 単行本
(三省堂元編集者の阿部正子さんが定年退職後、ひとりで編んだ労作)