一日一合で、一期一会(ある達人の言葉)

クリッピングから
「獺祭」で知られる山口県旭酒造会長/杜氏
桜井博志さんの「蔵元日記」


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旭酒造ホームページより引用)


これは真似してみたいなという記事に出会いました。


  2020.10.30

  蔵元日記vol.507【酒飲みの達人】
  前々回の蔵元日記を読んだ方からこんなお便りをいただきました。


  (以下から始まります)


  蔵元日記を読んで、、、


   「一日一合」で「一期一会」


  私は獺祭の180m瓶を何本か、丁寧に洗い乾燥させています。


  新しい獺祭を開けたら、3本の小瓶にすり切りまで酒を入れ冷蔵庫で保管します。
  風味の劣化を防ぎ美味しく飲む為ですが、少なくとも私はそう感じます。


  最初の日は残った瓶から美味しく飲み、
  足りないようであれば小瓶から飲みます。
  その時グラスも変えた方がベターですが、まあそれはそう感じた時に。


  家では「一日一合」が基本、ひと口ずつ美味しく頂戴します。
  日によっておかずが違いますし、気候や季節も変わりますので、
  野菜を試したりチーズと合わせたりしながら、
  すぐ眠くなる家飲みを楽しく飲んでおります。
  「一期一会」で新鮮な気持ちになります。


  美味しい酒を飲む、これはとても大切ですが、
  「酒を美味しく飲む」ことも良いよなと思います。
  食べ物の好みが千差万別なように、
  それぞれの方が好きな飲み方、食べ方、組み合わせをお考えになれば良いし、
  これはどうかな、あれはどうかな、と考える時からわくわく感が始まります。


  誰と飲むか、どんな音楽を聴きながら飲むか、これも大切です。
  コロナ禍でめっきり外飲みが減りましたので、
  家飲みをどうやって楽しむか、これは知恵の出しどころだと思います。


  文字通り新鮮に生きる時間を過ごす為に、新生獺祭を飲む。
  養命酒や薬のイメージは無く、ひと口ひと口が美味しく飲めます。


  東京の一飲み手の楽しみ方です。皆様のご参考になれば。

  (以上です)


  と、いうことです。
  ちょっと達人コメントですね。
  美味しい酒も大事ですが、
  「いかに美味しく飲むか」、人生の達人ですね。
  人生は楽しまなければ勿体無い。

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この記事掲載の3日後に
蔵元が「勝手流ご指南」を書いてくれました。
これもゆるい酒呑みの一人としてとても参考になりました。
再掲載します。


  2020.11.02

  蔵元日記vol.508【達人になりきれない方のために】
  前回の蔵元日記【酒飲みの達人】 を読んでいただいた方で、
  「なかなかここまでできなくて」と言われる方のために、蔵元が勝手流ご指南を。


  やはり、栓を開けた後はお酒の酸化は進むばかりですから、
  一升瓶の購入は3~4日で飲みきる自信がなければできれば避けていただきたいところです。
  720mlとか300mlなどの小瓶が、
  瓶内酒の液面が酸素に触れる面積も小さいですからお奨めです。


  飲み終わったお酒は冷蔵庫に。
  (この時、一升瓶ですと、冷蔵庫に入るかもしれませんが、
  「あれも入れなくちゃ。これも入れなくちゃ」と考えている相方と
  深刻な場所取り戦争が勃発しそうです。
  そして当然のことながら私たち酒飲みチームのみじめな負けになりそうです)
  この面でも小瓶が良いですね。


  それでも小瓶と比べて一升瓶は割安じゃないか、
  と言われる方も多いのですが、
  品質の面からいうとそうとも言い切れません。
  居酒屋さんなんかで獺祭を頼んで、「あれっ」と思うことがあります。
  一本目を、首をかしげながらそれでも何とか飲んで、
  二本目を頼むと「あぁ、よかったこれが本来の獺祭の味と香りだ」
  と思うことがあります。


  つまり、一本目の時と二本目の時のボトルが変わったんですね。
  最初のボトルは瓶の中に少ししか残ってない状態で一定時間経過していた。
  二本目のボトルはその時口開け。


  会社でやってみている実験でも、
  たとえ冷蔵庫に入れているとしても一合しか残っていない一升瓶を
  一週間以上置いておきますと、明らかに中のお酒は酸化しています。
  冷蔵庫に入れておいてこうですから、
  常温においておけばどうなるかご想像の通りです。


  だから、一升瓶から家庭で飲まれる(良い酒は)のは、
  かけたお金と品質のバランスから考えるとコスパが悪いのです。


  ということで、小瓶を買っていただくことをお勧めします。
  その時、300mlではやはりちょっと小さすぎると720mlを購入されたとして、
  初日はそのまま楽しんでいただくとして、残った酒はどうする?


  ここはこのまま冷蔵庫に入れちゃいましょう。
  この前のお便りいただいた方のように180mlに移し替えると満点ですが、
  そこまでできないのも悲しき凡人の性です。
  (いえ、これこそ多数派酒飲みの姿だ、と勝手に胸を張っちゃいましょう)


  ただ、この時、お願いがあります。
  できるだけ同じお酒を飲みきってほしいんです。
  なんとか一週間以内には。
  特に、最後に0.5合分ぐらい残って
  長期間冷蔵庫に滞在なんて状態が一番危険ですから、
  その場合は必ず翌日には飲んでいただけると美味しく楽しめると思います。


  それでもこんな状態で一定期間残ってしまう。
  まあ、ワインも焼酎も飲まなきゃいけませんしね。
  休肝日もありそう。
  それに帰る途中で酒屋によったら「東洋美人」と「開運」を勧められちゃったし。
  「うまそうだからこれを今日飲みたいな」なんて。


  と、いうようなことは人生には大いにありますよね。
  そんな場合は残ったお酒は料理に使っていただく。
  良いお酒を料理に使うともったいないという方がいますけど、
  やはり良いお酒は料理に使っても良いものです。
  それとお刺身なんかの付け醤油。
  私は山口県生まれのくせに地元風の甘い醤油が苦手で、
  甘くない醤油を探すようにしていますが、そうすると今度は辛すぎる。
  こういう時重宝しますね。
  三分の一ぐらいこんな残った酒を混ぜてしまう。
  新鮮な白身なんか絶対相性抜群ですね。


  こんなことで、達人になりきれないゆるい酒飲みの私たちも
  楽しく美味しい人生を楽しめると思います。
  人生は楽しくなければもったいない。
  たとえ、コンビニで買ってきたお惣菜を手近な皿に移し替えただけでも、
  美味しいお酒とお気に入りの酒器が隣にあれば心豊かな食卓になりますよ。


そう言えば、ときどき通っていた渋谷の立ち飲み名店・富士屋本店では
いいちこをグリーンの小瓶に小分けして売ってましたっけね。
300mlを一本買うと僕にはちょうどいい飲みきりサイズでした。


さっそくDAISOを覗いて
小分け用ガラス瓶を探してみなくっちゃ。