池上彰『これが「日本の民主主義」!』(集英社文庫、2021)

書名を最初見たとき、「なんだか平凡だな」と思った。
日本の民主主義にカッコが付いているのが大事だった!
池上彰『これが「日本の民主主義」!』(集英社文庫、2021)を読む。


これが「日本の民主主義」! (集英社文庫)

これが「日本の民主主義」! (集英社文庫)

  • 作者:池上 彰
  • 発売日: 2021/02/19
  • メディア: 文庫
(カバーデザイン/高橋健二(テラエンジン)、イラストレーション/板東史奈)


「はじめにー文庫版まえがき」から引用する。


  この本では、一般的な通史での形式はやめ、
  安保法制や食の問題、原発政策、税制、メディアなど、
  テーマごとに政治の変遷を辿ることにしました。


  これらのテーマから戦後の日本の政治をふり返って見ることで、
  「日本の民主主義」の姿を知り、
  あらためて「民主主義」を考えるきっかけになるのではないか
  と考えたからです。


  ここに至るまで、どんな出来事があったのか。
  テーマごとに違った日本が見えてくるはずです。

                         (p.13)


池上の選んだ七つのテーマは以下の通り。


  第一章 日米安保条約から安保関連法まで
  第二章 日本の食とTPP
  第三章 日本の原発政策
  第四章 税制の変遷と消費税
  第五章 政治とメディア
  第六章 五五年体制以後の連立政権
  第七章 これからの日本の民主主義


巻末には「戦後の首相」をまとめた。
四三代・東久邇宮稔彦(ひがしくにのみや なるひこ)から
九六代〜九八代・安倍晋三まで取り上げ
業績と「池上コメント」を付けている。
例えば九四代・菅直人についての「池上コメント」はこうだ。


  なるつもりがないのに総理大臣になって困った人もいますが、
  菅直人は総理大臣になること自体が目的としか思えませんでした。
  ですから総理大臣になったことで、目的は達成されてしまったんですね。
  「総理になったら何をやろう」というのがなかったのではないでしょうか。
  (略)

                             (p.264)


本書を手にするとき、腰巻に背中を押された。


  「中田敦彦YouTube大学」で紹介され大反響!
  「ここまで書いていいの !?
  池上さんの覚悟がすごい!」

         オリエンタルラジオ 中田敦彦さん


本書を通読すると、新聞を読むときに役立つ。
いま起きていることが、過去のどんな出来事とつながっているか、
確認したり、さらに自分で調べたりできる。
巻末8頁に及ぶ「主要参考文献」を眺めると、
池上がどんなインプットをした上で本書を執筆したか想像できる。


これが「日本の民主主義」!

これが「日本の民主主義」!

  • 作者:池上 彰
  • 発売日: 2016/10/26
  • メディア: 単行本


本書は2016年10月、
書き下ろし単行本としてホーム社より刊行。
文庫化にあたり、加筆修正。
ホーム社集英社グループで、
『そうだったのか!現代史』以来、池上のホームグラウンドでもある。
単行本のときに僕は本書を見落としていたので、
いいタイミングで文庫化してもらい通読できた。
力のこもった一冊だ。


そうだったのか! 現代史

そうだったのか! 現代史

  • 作者:池上 彰
  • 発売日: 2000/11/24
  • メディア: 単行本