佐藤優さんの講義録はどれも面白い。
テーマ設定、アプローチの仕方が独特だ。
佐藤優『「悪」の進化論ーダーウィニズムはいかに悪用されてきたか』
<同志社大学講義録>(集英社インターナショナル、2021)を読む。
「あとがき」から引用する。
本書は、私が二〇一九年八月二一日から二三日に
同志社大学京田辺(きょうたなべ)キャンパスで行った
集中講義の記録をベースに作成されている。
この講義の案内(シラバス)を紹介していく。
▶二〇一九年度 同志社大学生命科学部春学期講義
(サイエンスコミュニケーター養成副専攻)
授業テーマ
進化論と神の問題
授業の概要
チャールズ・ダーウィンが『種の起源』(一八五九年)を刊行し、
進化論が学知の中枢を占めるようになったことにより、
キリスト教が長年持っていた創造論が維持されなくなった。
その結果、神の存在にまで強く疑念がもたれるようになった。
進化論と神の関係について掘り下げて考察することを通じて、
異なる信念体系を持つ人々の間でのコミュニケーションの可能性について検討する。
到達目標
サイエンスコミュニケーターとして不可欠になる他者を理解する力をつける。
授業方法
講義、グループディスカッションとレポート作成による。
「授業内容」
1 『種の起源』の論理
2 『種の起源』のパラダイム
3 『種の起源』がマルクスとエンゲルスに与えた影響
4 ハーバート・スペンサーの社会進化論が社会に与えた衝撃
5 社会進化論とナチズム
6 社会進化論とスターリニズム
7 ボグダーノフの人間改造論
8 ソ連型科学的無神論
9 ドーキンスの遺伝子論
10 ドーキンスと文化の遺伝子ミーム
11 ドーキンスの無神論
12 マクグラスのドーキンス批判
13 神学と進化論
14 認識と関心
15 サイエンスコミュニケーターと多元的世界観
受講者へのメッセージやアドバイス
課題はかなり多いですが、消化すれば着実に力がつきます。
予習を行っていなくても授業についていけるように配慮しますので、
講義には全回出席してください。
積み重ね方式の講義ですので、
欠席すると、次回以降の講義の理解が難しくなります。
フィードバックの方法
授業での対話、レポートの添削
評価基準
授業への参加度 二〇%
積極的な発言、質疑に対する応答の回数で評価する。
小テスト 六〇%
適宜小テストを行い一〇〇点満点で採点し、返却する。
レポート 二〇%
一万二〇〇〇〜二万字のレポートを課す。
コメントをつけて返却する。
教科書
担当者(注・佐藤優)作成のワークブック、プリント
予習と復習
各回3時間の予習と1時間の復習が求められる。
参考文献等
(略)
このあとに小テスト問題とレポート課題が紹介されている。
読者が解答を著者の有料メルマガ「インテリジェンスの教室」
(月2回配信、月額購読料1,100円)の質疑応答コーナーに投稿すれば
佐藤さん自身がチェックしてくれる。
僕もときどき利用して、自分の理解を確かめている。
協力 同志社大学 野口範子教授(生命医科学部)
構成 佐藤眞(集英社インターナショナル)
同志社大学生命医科学部サイエンスコミュニケーター養成副専攻の
詳細については下線部クリックでどうぞ。
佐藤さんの「サイエンスとインテリジェンス」2021年度講義についても
シラバスが掲載されています。
▶サイエンスと悪の原理
▶集中読解と議論
こんな高度な講義が受けられる同志社大学のみなさんがうらやましい!
(これまでの受講者の論文をまとめ、書籍として出版)