この二人の共著はほぼすべて読んでいる。
「なぜ、いま、二人がこのテーマを」と気になった。
池上彰/佐藤優『真説日本左翼史ー戦後左派の源流 1945-1960』
(講談社現代新書、2021)を読む。
真っ赤な表紙、真っ赤な腰巻が目を引く。
腰巻の惹句はこうだ。
戦後左派の巨人たち、
武装闘争の幕開け、
野党の躍進と五五年体制
「左翼」は何を達成し、なぜ失敗したのか。
忘れられた近現代史を検証する。
池上の「はじめに」から引用する。
本書では、第二次世界大戦後、
一九四五年から一九六〇年までの左翼運動の歴史を
日本社会党と共産党の動向を柱に論じました。
共産党の「山村工作隊」や「所感派」と「国際派」の分裂など、
いまの若い共産党員には驚くような過去があったのです。
(略)
今後のシリーズは、一九六〇年以降、
いわゆる新左翼運動の勃興と没落を論じることになります。
(略)
さらに今後は、戦前の社会主義運動や
共産主義思想の芽生えなども振り返りつつ、
左翼の歴史の真説を語り尽くそうという
壮大なプロジェクトを構想しています。
こんな ”無謀な” 試みは、佐藤優氏がいたからこそ成立しました。
今後の取り組みにも期待していただければと思います。
(pp.4-5)
佐藤の「おわりに」から引用する。
日本ではほぼ死語になっている社会主義(socialism)という言葉が、
ヨーロッパのみならず伝統的に社会主義に対する抵抗感の強い米国においても、
最近、頻繁に用いられるようになっている。
日本でも近未来に社会主義の価値が、
肯定的文脈で見直されることになると思う。
その際に重要なのは、歴史に学び、
過去の過ちを繰り返さないように努力することだ。
日本における社会主義の歴史を捉える場合、
共産党、社会党、新左翼の全体に目配りをして、
その功罪を明らかにすることが重要と私は考えている。
(略)
本対談は、現下の論壇で活躍する人の中では
例外的に社会党左派について詳しい池上彰氏の協力がなければ
成立しませんでした。
深く感謝申し上げます。
(略)
講談社現代新書: 青木肇(編集長)、小林雅宏
編集協力: 古川琢也(ライター)
本シリーズがどう発展していくのか、
今後が楽しみだ。