鈴木忠平『嫌われた監督ー落合博満は中日をどう変えたのか』(文藝春秋、2021)

鈴木忠平『嫌われた監督ー落合博満は中日をどう変えたのか』
文藝春秋、2021)を読む。



「あとがき」から引用する。


  「落合さんを書いてみませんか?」
  文藝春秋社「週刊文春」の編集長である加藤晃彦さんから、
  そう言われたのは2020年の初夏のことだった。
  (略)


  私は加藤さんの言葉に、心を見透かされたような気持ちになった。
  なぜなら、個人的にいつかは落合博満という人物について
  長編を書きたいと思っていたからだ。
  ただそれは、もっとずっと先のことだとイメージしていた。
  言うなれば、自分が死ぬまでにやることの一つだと考えていた。


  「なぜ、いま落合さんなんですか?」
  私は訊いた。
  加藤さんはたしか、偽善でも偽悪でもなく
  組織の枠からはみ出したリーダー像が読みたいからだ、
  と言ったような気がする。


  それから数日が経ったあと、
  「タイトルをこうしようと思う」と連絡があった。
  『嫌われた監督』
  それを聞いて、書いてみようと思った。
  それなら書けるような気がした。
  なぜいま落合を書くのか、腑に落ちた。
  (略)

                  (pp.474-475)


  本書は「週刊文春」2020年8月13日・20日号から
  2021年3月4日号まで掲載した
  「嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか」に
  新たな取材と大幅な加筆修正をしたものです。

                      (p.477)


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