国家が家族を規定するのは分かるが、
家族構造が国家を規定するということがあるのか。
エマニュエル・トッド/堀茂樹訳
『我々はどこから来て、今どこにいるのか? (上)
ーーアングロサクソンがなぜ覇権を握ったか』
(文藝春秋、2022)を読む。
「日本の読者へーー政治学、経済学ではわからない現代世界」
から引用する。
1992年11月、国際交流基金の招きで初めて日本を訪れました。
もう30年も前のことです。
序章に記したように、
「家族」から社会や歴史を捉える私の方法論は、
母国フランスでは、当初から「保守反動的」「人種主義的」
「決定論的」だとぼろくそに非難されましたが、
日本での初めての講演の後、品のよい老紳士にこう尋ねられました。
「トッドさんは、長男ですか、次男ですか」。
こんな具合で、私の方法論は、
日本では当初から比較的容易に受け容れられたのです。
(p.1)
(通訳・堀茂樹)
トッドの著作を多く翻訳してきた石崎晴己の
『エマニュエル・トッドの冒険』(藤原書店、2022)を併読している。
トッド理論の道案内にとても役立つ。