エランベルジェ/中井久夫『いろいろずきん』(みすず書房、1999)

中井久夫さんの絵がなんとも愛らしい。
アンリ・フレデリック・エランベルジェ
(精神医学者、精神医学史家)との共作。
『いろいろずきん』(みすず書房、1999)を眺め、読む。



この童話絵本の「まえがき」に
エランベルジェの言葉が添えられている。


  かわいいまごたちへ

  きみたちに赤ずきんの話をしたら
  「赤ずきんしかいないの? 
  青ずきんがないのはおかしい、
  もっといろいろな色のずきんがあるはずだ」と言ったね。
  そりゃそうだ。
  どうして気がつかなかったのだろう。
  そこで、いろいろな色のずきんの話をさがした。
  どこにあったかって? 
  それよりも、まず、読んでくれたまえ。


巻末に添えられた「童話絵本『いろいろずきん』のこと」は
中井さんのこんな文章で締めくくられている。


  挿絵(さしえ)は、
  主に主人公の目から見たように描(か)こうとしました。
  精神科医が相手の身になろうとつとめるのと同じでしょうか。

                          (p.60)




庄司薫の四部作には赤頭巾と黒頭巾が登場する)