散水車傾きながら角をまがれり(山本 隆)

クリッピングから
讀賣新聞2024年6月3日朝刊
読売歌壇(俵万智選)
今週の好きな歌3首、抜き書きします。


  「だいじょばない」不思議な言葉を耳にして
  使ってみたい気持ちになった

            狭山市 奥薗道昭


    【評】新しい言葉が生まれるのは、新しい思いがあるから。
       「大丈夫?」と聞かれて
       「大丈夫じゃない」とは、なかなか言えない。
      でも時には言いたい。マイルドに。
      若い言葉を頭ごなしに否定しない姿勢に共感した。


  誰ひとり悲しませずに出来るから
  クノールスープをスプーンで混ぜる

       守口市 小杉なんぎん


    【評】一人で完結していれば、誰も悲しませない。
      繊細な孤独の感覚が、日常の場面で捉えられた。
      下の句、長音が穏やかな気分を伝える。


  花冷えのパリのあしたを散水車
  傾きながら角をまがれり

       東大阪市 山本 隆


今週のもう1首。


  月曜の朝のオフィスに
  新人の太い眉毛が活気をくれる

        大阪市 川田ゆかる



(万智さん、募集中の課題は「色」。1首、参加してみました。6/17〆切)