恋愛中と恋愛後における歯ブラシの意味の対比について

クリッピングから
朝日新聞2024年4月6日朝刊別刷be
読者投稿欄「いわせてもらお」


  ◉ゾゾゾー

  私が歯磨きを終えてブラシをコップにしまった時、
  隣にあった夫のブラシと私のブラシが重なり、
  まるでキスをしているような状態に……。
  思わず、すぐに引き離した。

   (横浜市・結婚前はそのままにしていたのにね・41歳)



この投稿を読み、
「読売歌壇」選者のひとり・俵万智さんが
2023年年間賞に選んだ<あきやま>さんの歌を思い出しました。


  まず土地に杭を打ち込むようにして
  二人暮らしにたてる歯ブラシ

         越谷市 あきやま


恋愛中と恋愛後における歯ブラシの意味の対比に
ついつい苦笑しました。


yukionakayama.hatenablog.com

春真っ盛りを教える山芍薬

我が家で春真っ盛りを教えてくれるのは
同居人の庭の山芍薬ヤマシャクヤク)です。
昼間の気温がグングン上がってきたと思うと、
それっとばかり、掛け声が聞こえそうな勢いで一斉に咲きます。



雨風が激しい日は開いた花弁をもういっぺん畳んで
通り過ぎるまで堪えます。
植物の知恵は凄いです。


あっという間に咲き、
まだいてほしいと願っても割と早めに散っていきます。
一年間世話をしてきた同居人はちょっと寂しそうです。

身体が頭を諦めさせたのだ(青山ゆみこ)

クリッピングから
朝日新聞2024年4月6日朝刊
「折々のことば」鷲田清一 3049


  人生を「やり直す」ことはできないが、
  生活は「立て直す」ことはできる

            青山ゆみこ


  「五十の急カーブを曲がり損ねて転倒して」しまい、
  長く心身不調のドン底を這(は)い回ったフリーの編集者・ライターは、
  キックボクシングを始める一方、少しずつ手抜きをすること、
  手放すことも覚え、ゆっくりと回復していった。
  「身体が頭を諦めさせたのだ」と言う。
  こののちまた不調に陥ってもきっと身体が教えてくれるだろうと。
  『元気じゃないけど、悪くない』から。




2024年4月6日毎日新聞朝刊
「今週の本棚/話題の本」で
武田砂鉄さんが同書を取り上げていました。





「ものすごく、自分は空っぽだ」と感じていました(安藤優子)

クリッピングから
毎日新聞2024年4月6日朝刊
「くらしナビ ーライフスタイルー」
「やりたいこと」と向き合っては(安藤優子


  「さまざまな場所に取材に行き、得た情報を発信する。
  アウトプットが多い仕事で
  『ものすごく、自分は空っぽだ』と感じていました。
  そして、どこかで何かをインプットしたいと、
  強く思うようになりました」


  40代半ばで、米ハーバード大の大学院の入学試験に合格した。
  メインキャスターを降板し、留学するつもりだったが、
  契約していたテレビ局から休暇の許可をもらえず
  「ずっと、うつうつとしていました」。


  それならば、
  と番組の出演を続けながら国内で学ぶことを決意。
  2005年4月、上智大の大学院に通い始めた。
  ニュースキャスターであり、
  大学院生でもある安藤さんの1日は、
  とにかく目まぐるしかった。


  起床は午前5時。
  1時間かけて英文の論文を勉強。
  食事やイヌの散歩をすませ、午前8時半には大学院に着く。
  昼食を取る間もなく、
  午後1時には、テレビ局でニュース番組の会議が始まる。
  断続的に行われる打ち合わせの合間を見つけ、
  弁当で空腹を満たした。


  午後5時から2時間、生放送の番組に出演。
  番組内容についての話し合いを終え、
  帰宅するのは午後8時ごろ。
  犬の世話や夕食、入浴、読書などをして、
  午前0時に就寝するという日々だ。


  「仕事も学業も両方とも優先したい。しなくちゃいけない」。
  強い決意を実行に移すため、工夫したのは、時間の使い方だった。
  「家に帰ると、家事や仕事など勉強以外にすべきことがでてきて、
  集中できないんですね。
  だから、講義前や仕事帰りに大学の図書館に行って、
  1時間だけ集中する時間を作ることを心掛けていました」


  修士課程で3年、博士課程で5年、
  日本の女性国会議員の少なさを研究した博士論文の執筆で4年の計12年、
  大学院に通った安藤さん。
  社会人として働いた経験があったからこそ、
  深い学びができたという。
  (略)


  政府は「人への投資」として、
  リスキリングを進める個人や企業への助成を拡充しており、
  社会の変化に適応し新たなスキルを獲得することが推奨されている。
  しかし、安藤さんはリスキリングを
  「狭い意味で捉えられすぎている」としたうえで、こう説く。
  「陶芸や手芸などの趣味でも『やっぱり、やりたい』と思うことに、
  今一度、向き合ってみたらどうでしょうか」
  (略)

                           【御園生枝理】






この記事を読み、
かつて有働由美子さんがNHKを退職したときのコメントに
池上彰さんが辛口のエールを贈ったことを思い出した。
ネットで見つけた記事から引用する。


  ジャーナリストの池上彰さんが(2018年4月)6日、
  東京都内で行われたテレビ東京の新番組
  「日曜ゴールデンの地上ワールド『池上彰の現代史を歩く』
  Walking through Modern History~ニュースと現代史を結ぶ旅~」の会見に出席。


  (2018年)3月31日付でNHKを退職した有働由美子さんについて、
  NHK出身の池上さんは
  「ジャーナリストとしては、
  そんな簡単にジャーナリストなんて自称してほしくないなと受け止めました」
  と厳しいエールを送った。 


  有働さんは、退職を報告した3月31日付のファクスで
  「今後、有働由美子という一ジャーナリストとして
  NHKの番組に参加できるよう精進してまいります」とつづっていた。
  また一部ではすでにNHKへの出演が決まっていると報じられている。

 
  池上さんは厳しいエールを送った一方で、
  「今回はNHKを辞めて、そのままNHKに出演できている。
  私は、NHKを辞めて、民放で仕事をしながら
  NHKにも出られるようになったので、NHKの許容が変わった。
  NHKが変わるきっかけというか。
  NHKの中で有働さんがこれまでのアナウンサーにない幅を広げ、
  いろいろやったことが認められたんだと思う」
  と有働さんの実績をたたえた。

<新作ラジオ講座> まいにちドイツ語、まいにちロシア語(初級編)

英語の他にドイツ語、ロシア語を学んでいます。
僕の外国語勉強のベースキャンプはNHKラジオ講座
半年単位の講座です。
春学期(4〜9月)はそれぞれ初級編が新作。



「まいにちドイツ語」(初級編)の講師は田原憲和先生。
「北ドイツの秘宝を探せ!」です。
<プロローグ>を引用します。


  小学生のとき、遊びに来た大阪の祖母から
  「アンタにはドイツ人の血が流れとんやで!」と告白された正人。
  その証拠に、正人には「クラウス」というミドルネームがあった。


  聞けば祖母の父親(正人にとっての曾祖母)は
  ハンブルク生まれのドイツ人。
  正人は、祖母のことばを胸に、
  ある目的を持って曾祖父が生まれ育った
  北ドイツのハンブルクを訪れたのであった。


<登場人物紹介>を引用します。


  嵐山クラウス正人

  ドイツ人を先祖に持つ22歳の青年。
  大学でドイツ語を猛勉強し、念願のドイツ訪問を実現させた。
  ハンブルク空港で初めてのドイツの地に足を踏み入れたが、
  正人の訪独の目的とは果たして……?


  Petra Wagner

  ハンブルク空港でグランドスタッフのアルバイトをしている女性。
  空港で正人と出会ったことで彼女の人生の歯車が回りだす。

                            (p.12)


「この講座について」で田原先生が書いています。


  さらに、単調になりがちな単語学習では、
  ラッパーのBlumioさんがラップに乗せて基礎的な単語を紹介してくれます。
  リズムに合わせてドイツ語の語感を養ってください。

                                (p.8)

2023年度秋学期(10月〜3月/応用編)で活躍した
綿谷エリナさんが
ナビゲーターとして再登場。
うれしいキャスティングです。


一方「まいにちロシア語」は
テレビのロシア語講座でおなじみの前田和泉先生登場。
「言葉遊びで学ぶ表現の基礎」です。
<開講のことば>から引用します。


  今回のシリーズでは最初にアルファベットを紹介せず、
  いきなりアネクドート(一口小話)から始まります。
  ロシア語のアルファベットを全く知らない方は、
  とりあえずp.12〜21の文字と発音の解説を見ておいてください。
  あとはもう気合いと度胸でなんとかなります! 


  しょせんロシア語のアルファベットなんて、たった33文字。
  日本語を勉強する外国人なんて、
  ひらがなとカタカナと漢字を
  もっとたくさん覚えないといけないんですから、
  それに比べれば楽勝です……よね?(笑) 


  ということで、気楽な気持ちで行きましょう。
  これから半年間、どうぞよろしく!

               (p.8)


<講座とテキストのご利用について>から引用します。


  「言葉遊びで学ぶ表現の基礎」は、
  ロシア語初級者〜中級者のためのシリーズです。
  語学の習得には地道な努力を続けていくことが必要ですが、
  そのモチベーションを維持するために、
  毎回、楽しく興味深い題材を用意しました。


  アネクドート(一口小話)、なぞなぞ・クイズ、早口言葉、
  ことわざ、詩など多彩なアプローチで、
  飽きずに続けられるように工夫しています。
  ややレベルの高い表現や単語も出てきますが、
  中級の方には手ごたえを感じていただけるでしょう。
  

  初級の方も、内容を楽しみながら
  「習うより慣れろ」の精神で聴いていただくことが大切です。
  半年後にはロシア語の基本表現や文法の知識が身につき、
  安心して次のステップへと進んでいただけます。


  また、このシリーズでは、
  ラジオ講座の利点を最大限に生かすために文字の詳しい解説はしていません。
  ロシア語のアルファベットを全く知らない方は、
  次のページからの解説を読んで、ご自分のペースで勉強してください。
  できる限り、詳しく解説していますので、
  放送で実際のロシア語の発音に親しみながら自習できるようになっています。
  ぜひ並行して進めていってください。

                                (p.10)


「応用編」はどちらも再放送で
ドイツ語は中山純先生の「こつこと一人で続けよう」、
ロシア語は佐藤貴之先生の「舞台の名シーンに学ぶ生きたことば」。
1年半のインターバルで再放送されるので飽きることはありません。
ディテールはあらかた忘れてしまっているので!(苦笑)

街が消え森が消えても降る雨が(世田夏雪)

クリッピングから
毎日新聞2024年4月1日朝刊
毎日歌壇(加藤治郎選)
今週の好きな歌3首、抜き書きします。


  街が消え森が消えても降る雨が
  今日は偶然ぼくらに降った

        大津市 世田夏雪


  ふとももに知らない傷がひとつあり
  夜に覗(のぞ)くとにっこりと笑む

           堺市 石井藍


  どうしてもあの行列には並べずに
  三日月ほそく後悔してる

          京都市 小川ゆか





歌に詠まなければ残らない世界の片隅のできごとだ(俵万智)

クリッピングから
讀賣新聞2024年4月1日朝刊
読売歌壇(俵万智選)
今週の好きな歌3首、抜き書きします。


  読み聞かせた童話を思い出しながら
  木こりの気分で切るブロッコリー

        平塚市 小林真希子


    【評】童話の世界が、
      声に出して読んだ本人の身体に深く染み込んでいる。
      下の句、「き」の頭韻に加え、
      ブロッコリーという語も響きあい、
      声に出して読みたくなる歌になった。


  境内の太鼓が響く坂下に
  侘助一つホフッと咲けり

      柏市 塩田淳文


    【評】控えめに春を告げる侘助(わびすけ)の花。
      舞台は坂下、BGMは太鼓。
      歌に詠まなければ残らない世界の片隅のできごとだ。
      独自のオノマトペ「ホフッと」が味わい深く効いている。


  「ドレッシングは別世界です」
  千切りの僕を置いてくなんて嘘でしょう?

           仙台市 まつのせいじ


    【評】「別添えです」の聞き間違いから始まるドラマ。
       キャベツの気持ちに成り代わるという発想が面白い。


今週のもう1首。


  入学の準備を終えた筆箱に
  今か今かとトンボが並ぶ

      東村山市 月出里ひな




神保町の貸棚共同書店 PASSAGE
 万智さん、スケザネさんのダブルサイン本が出品されたけど
 すぐに売れちゃうだろうな……)