無名の日本人の偉さは勤勉と工夫にある(中井久夫)

クリッピングから
朝日新聞2019年6月21日朝刊
折々のことば 鷲田清一 (第1498回)


  日本では有名な人はたいしたことがない。
  無名の人が偉いのだ。
               中井久夫


  その偉さは「勤勉と工夫」にあると精神科医は言う。
  なかでも「既存のものをあまり目立って変えないようにし、
  外見は些細(ささい)に見える変更の積み重ねによって
  重大な障碍(しょうがい)を迂回(うかい)し、
  精力の浪費なくして中程度の目的に達する」工夫が尊いと。


  昨今のその痩せ細りを憂いつつも、
  それはしかし大問題の処理に弱いということでもあると注意を促す。
  随想集『「昭和」を送る』から。


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無名の日本人の勤勉と工夫の尊さを誇りながら、
大問題の処理に弱いとの指摘も忘れない。
これが知性ということなんだなと思った。


「昭和」を送る

「昭和」を送る