バグダッド(『Baghdad2003』)や
平壌、その近郊(『隣人。38度線の北』)を撮影してきた初沢亜利が
コロナ禍の東京をどう見たのか、気になった。
初沢亜利『東京、コロナ禍』(柏書房、2020)を眺める。
初沢が表紙に採用したのが、
非常事態宣言で使用禁止になった北青山の公園の遊具。
ひと目でコロナウイルスを連想させるカタチをしている。
「北青山の公園」とだけキャプションが載せられている。
同写真集から何点か、
作品を引用させていただく。
日常が非日常と渾然となって見る者に語りかけてくる。
言葉による論理的なメッセージとはまるで異なる。
写真は、もし言葉の領域に置き換えるとすれば、
詩に近い表現なのか。
(産経新聞2020年9月12日朝刊より)
9月5日付、八重洲ブックセンター本店
一般教養書ベストセラーで第2位にランクされていた。
初沢の仕事に注目してきた人に加えて
タイトル、表紙に惹かれて購入した人も多かったかもしれない。
(装幀:浅葉克己)
ミヒャエル・エンデ『モモ』 2020年8月 (NHK100分de名著)
- 作者:河合 俊雄
- 発売日: 2020/07/22
- メディア: ムック
NHK Eテレ「100分de名著」8月号テキストブック
河合俊雄『ミヒャエル・エンデ モモ』も同ランキング第9位。
こうしたデータを見ながら、
人々の行動変容を想像してみるのも面白い。
- 作者:初沢 亜利
- 発売日: 2012/12/22
- メディア: 大型本
[追記] 2020.9.18
クリッピングから
朝日新聞2020年9月16日朝刊
ラジオアングル コロナ禍記録する意味
作家・高橋源一郎と初沢の対談が
9月18日21時05分からNHKラジオ第1で生放送される。
番組自体も面白そうだ。
聴いてみよう。
作家の生の言葉が味わい深い
NHK第1「高橋源一郎の飛ぶ教室」(金曜夜9時5分)は、
日本もコロナ禍に巻き込まれた今年3月下旬に始まった。
冒頭に高橋が「今夜の言葉」を語り
「ひみつの本棚」という1冊の本を読み解くコーナーへと続ける。
後半は「きょうのセンセイ」が登場し、
様々なジャンルの専門家が肩ひじ張らないトークを聞かせる。
18日の「きょうのセンセイ」は写真集『東京、コロナ禍。』(柏書房)が
多くのメディアで注目されている写真家・初沢亜利。
初沢は1973年パリ生まれ、東京育ち。
幼少期からパリで活動した写真家の父親の背中を見るように、
カメラを始め、これまでにバグダッド、北朝鮮、沖縄などの写真集を
腰を据えて撮り続けてきた。
『東京、コロナ禍。』は、
東京上野恩賜公園の満開の桜並木が雪のなかで封鎖されている様子や、
東京五輪のマークの隣で真っ赤な東京アラートが光る
レインボーブリッジなどが、つぶさにおさえられている。
金澤利夫プロデューサーは
「高橋さんもコロナ禍に対しては多角的に分析されています。
初沢さんと、コロナの時代を記録することの意味を
語り合っていただけたら」と生放送に期待する。
(ライター・森綾)