クリッピングから
讀賣新聞2020年11月2日朝刊
社会奉仕活動に長く従事した人への緑綬褒章
尾畠春夫さん(81)
2018年8月、山口県周防大島町の山中で
行方不明になった男児を3日ぶりに見つけた。
東日本大震災や熊本地震での活動と合わせ、
「スーパーボランティア」として時の人に。
その原点は、約30年前から地元・大分県の由布岳(1583メートル)で続けている
登山道の整備と清掃活動にある。
「やるべきことをやってきただけ」と控えめに語る。
同県別府市で鮮魚店を営みながら、健康のために40歳で登山を始めた。
ボランティアの道に踏み出したのは50歳。
登山道のベンチを修繕し、手製の竹の杖(つえ)を登山者に配り、
けがをして歩けなくなった人を背負って下山した。
65歳で店を畳んだ後は、月のほとんどが山通いになったことも。
海洋プラスチックごみの問題を知り、
昨年からは海岸でペットボトルの回収も始めた。
「生きている限りボランティアを続けたい」。
日焼けした顔で笑った。
僕はこの方のファンです。
自分がやるべきと思ったことを淡々とやる。
誰かに褒められようと見返りを求めたりしない。
こんな方が世の中にいらっしゃることを知るだけで、
心のどこか奥の方が少し温かくなります。
メディアが名付けた「スーパーボランティア」は
なんだか似つかわしくない。
ボランティアって何だろう、と僕たちに考えさせてくれた人。
四の五の言う前にまず自分が動く人。
我が道を行く、あくまでも、どこまでも
「無名のボランティア」尾畠さん。
緑綬褒章受章、おめでとうございました。