「BMW」で通勤する90歳総務部員・玉置泰子さん

クリッピングから
朝日新聞デジタル2021年1月30日
私に定年はない
90歳の「世界最高齢」総務部員


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朝日デジタルから)


90歳の現役フルタイム総務部員・玉置泰子さん。
小見出しの「ヨガをしてから「BMW」で出勤」に興味を引かれ、
記事の中味を読み始めた。


  90歳の大阪の女性がギネス世界記録に認定された。
  「世界最高齢の総務部員」として。
  64年間、ネジの専門商社で働いてきた。
  「私に定年はない。私には未来がある。
  あしたのために今をたくましく生きるんです」。
  力強さはハンパじゃない。
  (略)


  勤務は午前9時〜午後5時半。
  新型コロナで今は午後4時までに短縮され、
  月2回の「コロナ休暇」もある。
  だが、ほんの2、3年前までは朝7時に出社し、
  終業後もみんなの帰りを見届けた。


  「自分の席で死にたいと言われてますから」
  と上司の佐藤宏彦部長(47)。
  60歳の定年後は、本社から出向する形で
  1年ごとに契約更新を続ける。


  大阪府豊中市で三つ下の妹と暮らす。
  朝5時半に起きてヨガを30分、般若心経を3回唱える。
  「BMWで1時間かけて通勤しています」。
  バス(Bus)と地下鉄(Metro)に乗り、駅から歩く(Walk)。
  「BMWでしょ」。
  おちゃめに舌を出す。
  (略)


  40歳で課長に昇進したときは、つまずきもあった。
  理想が高く、部下に細かく注文をつけ、反発された。
  ある日、残業を頼んでも誰も残らない。
  みなの湯飲み茶わんを洗いながら考えた。
  「偉そうに上から言ってもダメ。
  勉強の場を与え、成長できるようにしよう」


  教育信条は「守・破・離」になった。
  見て覚える「守り」、自分流にやってみて「破り」、
  納得できたら先輩から「離れる」。
  3本柱で後輩を育てた。


  人生の師匠ーー。
  総務部員の上茂(うえしげ)裕美さん(36)は
  14年間ともに働き、そう慕う。
  「50歳以上、年が離れていても線引きしない。
  野球大会の応援、送別会も皆勤。
  社員の名前をみんな覚えてくれている」。
  武藤麻古課長(43)も尊敬のまなざしだ。
  本をたくさん読んでいて、知識がすごい」
  (略)


  「結婚はしなかったけれど、
  会社というすばらしいパートナーに出会えた。
  宇宙に私はただ一人。
  どこまで行けるか、がんばってみます」。
  すがすがしい。

                 (河合真美江)


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(玉置さんが勤務する「サンコーインダストリー」サイトから)


ギネス世界記録認定を入り口に
働くことについて考えさせる記事に河合記者が仕上げた。
玉置さんが素晴らしいのはもちろんだが、
そうした職場を作り続けてきた会社が素晴らしいね。


記事の最後にデータが付いている。


  この調査(引用者注:厚生労働省「高年齢者の雇用状況」)による
  企業の受け入れ態勢をみると、
  66歳以上が働ける制度があるのは33.4%。
  前年より2.6ポイント増えた。


  中小企業(従業員31〜300人)では34.0%(前年比2.6ポイント増)、
  大企業(301人以上)は28.2%(同2.9ポイント増)で、
  中小企業のほうが進んでいる。
  高年齢者雇用安定法が改正され、
  4月からは70歳までの就業機会の確保が企業の努力義務となる。
  現役のシニアはますます増える。