軒下を借りるつばめは春の消印(渡部芳郎)

クリッピングから
讀賣新聞2021年6月7日朝刊
読売歌壇(俵万智選)


今週も好きな歌3首、抜き書きします。


  エプロンを外して母に会いにゆく
  母より娘でいたい母の日

       平塚市 小林真希子


     【評】自分の母親が健在で、娘もいると、
        「母の日」は複雑だ。
        感謝されるより、する側。
        甘えられるより、甘える側。
        エプロンという小道具と、
        三つの異なる「母」を用いて、
        気持ちが過不足なく伝わってくる。


  距離をあけ座ってください紙切れで
  通告される椅子のリストラ

         東京都 カラスノ


ひとつ置きに飛ばされて、
仕事ができない椅子の無念を
歌が代弁してくれました。


  巣作りに郵便局の軒下を
  借りるつばめは春の消印

         瑞穂市 渡部芳郎


クラシックな味わいの歌を読み、
なんだかホッとしている自分がいます。
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