どこにも行けませんでした、夏(山形さなか)

クリッピングから
讀賣新聞2021年8月23日朝刊
読売歌壇(俵万智選)


今週も好きな歌3首、抜き書きします。


  下書きに保存しましたそれ以上
  どこにも行けませんでした、夏

         東京都 山形さなか


    【評】コロナと関係なく、恋のメールとも読める。
       けれど今は、多くのことがペンディングの状態。
       より広い解釈で、共感を呼ぶのではないだろうか。
       結句の読点と体言止めが、
       あったかもしれない夏を思わせて、深い余韻を残す。


  十一度目の夏が来たのにもどらない
  蟬捕りに出たままの裕子さん

         霧島市 久野茂樹


11年前の夏、裕子さんに何が起きたのか、
とても気になりました。


  反対の意見も少し書かれおり
  ぜんざいに付く塩こんぶかも

          大阪市 原拓


重たくなりそうな話題を
さらりユーモアで交わした一首。
僕は好きですね。


(下線部クリックで、同じ作者の別の歌が読めます)


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