クリッピングから
毎日新聞2023年8月15日朝刊
「余録」
「日本はこの興亡の大戦争を始むるのに
幾人が知り、指導し、考え、交渉に当たったのだろう。
おそらく数十人を出でまい」。
外交史家、清沢洌が「暗黒日記」に記している。
戦時中、公言できない本音を残した▲
清沢は秘密主義の危険性を指摘し、
言論の自由が不可欠と強調した。
「日本で最大の不自由は、国際問題において、
対手(あいて)の立場を説明することができない一事だ。
日本には自分の立場しかない」と書いた▲
米国の巨大な生産力を知りながら
「『自由主義』と『個人主義』で直ちに内部から崩壊」する
という希望的観測が広く信じられたとも指摘している▲
(略)