スクラップブックから
朝日新聞2018年5月29日夕刊
あなたを傷つけた人の事情 背負う必要ない
「かがみの孤城」辻村深月さん
- 作者: 辻村深月
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2017/05/11
- メディア: 単行本
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先月に本屋大賞を受けた「かがみの孤城」(ポプラ社)は、
教室で居場所をなくして学校に行けない
中学1年の少女が主人公の物語。
辻村さんに不登校の経験はないが、
「中学時代が一番つらかった」という。
石井編集長(引用者注:「不登校新聞」)と
「子ども若者編集部」の6人による取材に
「今まで受けたどのインタビューよりも緊張した」。
(略)
ある20代の不登校経験者は、
嫌なことをされた相手を今も許せず、
すごく悔しい気持ちもあると告げた。
「許さなくていい」。
辻村さんはこう答えた。
「傷つけてきた人にも事情があるかもしれない。
でも、その事情をあなたが背負う必要はありません」
いま、辻村さんは学校になじめない子どもたちに
こんな思いを持っている。
「大人を頼ってほしい。
万能じゃないし、ふがいないことも多いけど、
わかってくれる人は必ずいる。
大人の援助の手に気づくことは恥ずかしいことではない」
文部科学省によると、
病気や経済的な理由をのぞき、
何らかの要因で登校しない、
したくてもできない状況にあり、
年間30日以上欠席した児童生徒。
2016年度は小学生が3万448人、
中学生は10万3235人。
いずれも4年連続で増加している。
(土居新平、山下知子)
不登校で苦しむ子どもたちに
辻村深月さんの言葉が届くといいと思う。
僕自身はふがいないことも多い大人のひとりだけれど、
子どもたちの問題を見て見ぬふりすることはしたくない。