あなたを傷つけた人の事情、背負う必要ない(辻村深月)


スクラップブックから
朝日新聞2018年5月29日夕刊
あなたを傷つけた人の事情 背負う必要ない
かがみの孤城辻村深月さん


かがみの孤城

かがみの孤城


   先月に本屋大賞を受けた「かがみの孤城」(ポプラ社)は、
   教室で居場所をなくして学校に行けない
   中学1年の少女が主人公の物語。
   辻村さんに不登校の経験はないが、
   「中学時代が一番つらかった」という。


   石井編集長(引用者注:「不登校新聞」)と
   「子ども若者編集部」の6人による取材に
   「今まで受けたどのインタビューよりも緊張した」。
   (略)


   ある20代の不登校経験者は、
   嫌なことをされた相手を今も許せず、
   すごく悔しい気持ちもあると告げた。


   「許さなくていい」。
   辻村さんはこう答えた。
   「傷つけてきた人にも事情があるかもしれない。
   でも、その事情をあなたが背負う必要はありません」


   いま、辻村さんは学校になじめない子どもたちに
   こんな思いを持っている。
   「大人を頼ってほしい。
   万能じゃないし、ふがいないことも多いけど、
   わかってくれる人は必ずいる。
   大人の援助の手に気づくことは恥ずかしいことではない」



     不登校


     文部科学省によると、
     病気や経済的な理由をのぞき、
     何らかの要因で登校しない、
     したくてもできない状況にあり、
     年間30日以上欠席した児童生徒。
     2016年度は小学生が3万448人、
     中学生は10万3235人。
     いずれも4年連続で増加している。
                  (土居新平、山下知子)


不登校で苦しむ子どもたちに
辻村深月さんの言葉が届くといいと思う。
僕自身はふがいないことも多い大人のひとりだけれど、
子どもたちの問題を見て見ぬふりすることはしたくない。