歴史

荒木茂雄他編『関口存男の生涯と業績』(1959)

ドイツ文学者であり作家である池内紀の言葉を借りれば ドイツ語学者であるだけでなく 言語哲学者であった関口存男(つぎお)。 関口の逝去を惜しんでまとめた『関口存男の生涯と業績』を読みたいが、 あちこち調べてみると国立国会図書館しか蔵書を置いてい…

大野晋編『古典基礎語辞典』(2011)

この辞書は見過ごすことができませんでした(またしても!)。 大野晋とそのチームが挑んだ古典基礎語3,200解読への挑戦。 『古典基礎語辞典ー日本語の成り立ちを知る』(2011)を買いました。 古典基礎語辞典作者: 大野晋出版社/メーカー: 角川学芸出版発売…

『日本語のために』から『古典基礎語辞典』へ

予約していた『実用英文典』を受け取りに 帰宅途上の金曜夕方、A図書館に寄る。 新刊書の棚は帰り際に必ず覗く。 ここの購入を担当している司書と趣味が合うのか、 僕が読みたいと思う本が見つかることがたびたびある。 注目していた池澤夏樹個人編集「日本…

齋藤秀三郎/中村捷(訳述)『実用英文典』(2015)を借りてきた

このところ齋藤秀三郎(ひでさぶろう)と その著作について書いている。 帰宅途中のA図書館で 予約していた『実用英文典』を借りることができた。 「訳述」という語を初めて知った。 「翻訳してその内容を述べること。 また,翻訳による述作。」と辞書の語釈…

『いっきに学び直す日本史・実用編/近代・現代』(2016)

日本史が通史として頭に入ったのが 最大の収穫だった。 『いっきに学び直す日本史・実用編/近代・現代』を読む。 『同・教養編/古代・中世・近世』とともに二冊読了した。 いっきに学び直す日本史 古代・中世・近世 教養編作者: 安藤達朗,山岸良二,佐藤優…

俄然歴史が面白い

中学高校の頃、 歴史をさほど面白いと思った記憶はない。 このところ俄然歴史が面白い。 いっきに学び直す日本史 古代・中世・近世 教養編作者: 安藤達朗,山岸良二,佐藤優出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2016/03/30メディア: 単行本この商品を含む…

佐藤優『超訳 小説・日米戦争(原作・樋口麗陽)』(2013)

日米が再び戦争になったら……。 荒唐無稽に聞こえるが、妙にリアリティがあった。 佐藤優『超訳 小説・日米戦争』(2013) (原作・樋口麗陽『日米戦争未来記』(1920))を読む。 超訳 小説日米戦争作者: 佐藤優出版社/メーカー: ケイアンドケイプレス発売日…

田代和生(かずい)『書き替えられた国書』(1983)

事実は小説よりも奇なり。 NHKが歴史ドラマにしてくれないかなぁ。 田代和生『書き替えられた国書 —徳川・朝鮮外交の舞台裏』(1983)を読む。 書き替えられた国書―徳川・朝鮮外交の無台裏 (中公新書 694)作者: 田代和生出版社/メーカー: 中央公論新社発売日…

地図帳と年表を脇に置く

歴史書、ノンフィクション、社会科学などの本を読むとき、 地図帳と年表を脇に置き、 頻繁に参照しながら読み進めるようになった。 これがとても具合がよろしい。 例えば中東情勢などを読んでいると、 国名、都市名などの位置関係が分からないとちんぷんかん…

芋づる式に、深みにはまる

芋づる式読書をしていると ときに思いも寄らなかった世界を垣間見る。 僕が信頼する書評家・狐に 孤高の歴史学者・岡田英弘の著作を教えてもらった。 狐の書評 (活字倶楽部)作者: 狐出版社/メーカー: 本の雑誌社発売日: 1992/05メディア: 単行本購入: 1人 ク…

ベネディクト・アンダーソン『比較の亡霊』(1998原著/2005)

海外で二世三世として成功した人間が 祖国でナショナリズムの活動をする人間たちに資金を提供する。 自分たちは「祖国」で暮らした経験もなく、 現在の「祖国」からは安全な異国で暮らしているにも関わらず。 この現象を「遠距離ナショナリズム」と名付けた …

佐藤優『甦る怪物(リヴィアタン)』(2009)

マルクスとの三度目の出会いはロシアだった。 今度は理論でなく現実として出会った。 佐藤優『私のマルクス・ロシア編 甦る怪物(リヴィアタン)』を読む。 甦る怪物(リヴィアタン)―私のマルクス ロシア篇作者: 佐藤優出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2009/…

地図帳を買いに行く

大久保の第一教科書に足を運ぶ。 中学高校の全教科書が購入できる都内6書店のひとつだ。 きょうは地政学の勉強に使う最新世界地図帳、 「日本史A」教科書が欲しくてやってきた。 地図帳は二宮書店「新コンパクト地図帳」(高校用)が一番よかった。 A4版サイ…

佐藤紅緑『ああ玉杯に花受けて』(1928/2014文庫版)

その時代に人びとはどんな空気の中で生きていたか。 歴史概説書で解説できない時代の気分を 写すことができるのが小説だ。 佐藤紅緑『ああ玉杯に花受けて』(1928)を読む。 昭和2年『少年倶楽部』に連載した紅緑初の少年小説である。 ああ玉杯に花うけて 少…

第一学習社『世界史A』(2015)

高等学校レベル知識の欠損を補うのは 教養を身に付け維持するための基本になる。 佐藤優が主張し、ビートたけしもそうした研鑽を続けていた。 第一学習社「世界史A」を読む。 池上彰と佐藤の二冊目の共著『大世界史』で 二人が口を揃えて「世界史A」の学習を…

アレクサンドル・ソクーロフ『牡牛座 レーニンの肖像』(2001)

アレクサンドル・ソクーロフ 『牡牛座 レーニンの肖像』 を見る。 歴史の権力者シリーズ第2作である。 レーニンが実際に晩年に住んだモスクワ郊外ゴールキの別荘が ロケーションに使われている。 牡牛座 レーニンの肖像 [DVD]出版社/メーカー: 紀伊國屋書店…

アレクサンドル・ソクーロフ『モレク神』(1999)

ヒトラーが命じ実行した行動は到底許せるものではないが、 人格、行動、思考には昔から興味がある。 怖いもの見たさの心理か。 アレクサンドル・ソクーロフ『モレク神』を見る。 モレク神 [DVD]出版社/メーカー: 紀伊國屋書店発売日: 2010/11/27メディア: DV…

アレクサンドル・ソクーロフ『太陽』(2005)

アレクサンドル・ソクーロフ『太陽』を見る。 太平洋戦争末期から戦後早々まで イッセー尾形演じる昭和天皇を主役に描く。 日本人キャストがほとんどを占め日本語で演じる。 ソクーロフはどうやって演技指導をしたのか。 日本人スタッフが監督をよほどうまく…

施耐庵『水滸伝(下)』(松枝茂夫編訳)(1960)

施耐庵『水滸伝(下)』を読む。 58章でとうとう108人の英雄(頭領)が梁山泊で一同に会する。 面白い。 少なくとも五百年から六百年、 中国の知識人だけでなく庶民に愛されただけの物語性がある。 水滸伝 下 新版 (岩波少年文庫 543)作者: 施耐庵,福田貂太…

施耐庵『水滸伝(中)』(松枝茂夫編訳)(1959)

まったく油断も隙もあったものではない。 不倫をしている妻は夫を毒殺する。 街道の居酒屋では女主人が客にしびれ薬の入った酒を飲ませ、 人肉饅頭の材料にしてしまう。 施耐庵『水滸伝(中)』(松枝茂夫編訳)(1959)を読む。 水滸伝 中 新版 (岩波少年文…

昭和20年8月15日の天気図

戦争が終結した昭和20年は勘定に入れないのだろうから 68回目の終戦記念日。 敗戦記念日と認識すべきだとの意見にも僕は耳を傾けるが、 「ああ、やっと終わった……」というのが 普通の人の感覚ではなかったろうか。 「厭戦の意を込めた終戦」なら分かる気がす…

施耐庵『水滸伝(上)』(松枝茂夫編訳)(1959)

夏だから肩のこらない読みものも欲しいなと思い、 施耐庵(したいあん)『水滸伝(上)』(松枝茂夫編訳)を読んだ。 400詰め原稿用紙5,000枚以上に及ぶ原作を 松枝茂夫が岩波少年文庫のために1/5ほどに圧縮した翻訳である。 水滸伝 上 (岩波少年文庫 541)作…

『紫禁城の栄光ー明・清全史』(1968単行本/2006文庫版)

2011年9月に瀋陽を訪れて以来、 中国史は僕の読書テーマの柱のひとつである。 岡田英弘/神田信夫/松村潤『紫禁城の栄光』(2006文庫版)を読む。 元から明、清に至る450年の読みやすい通史である。 紫禁城の栄光―明・清全史 (講談社学術文庫)作者: 岡田英弘,…

網野善彦『歴史を考えるヒント』(2001/2012文庫版)

網野善彦『歴史を考えるヒント』を読む。 言葉を通して日本の歴史を考え直す一冊である。 「百姓」という言葉が農民だけを指す訳ではない、と語られると 「え、そうだったの?」と意表を突かれる。 歴史を考えるヒント (新潮文庫)作者: 網野善彦出版社/メー…

岡田英弘『倭国ー東アジア世界の中で』(1977)

岡田英弘『倭国ー東アジア世界の中で』を読む。 巻末倭国史年表で日本の建国周辺の年代を整理してみる。 661年 唐・新羅が百済を滅ぼす 663年 百済・倭が白村江で唐・新羅に破れる 667年 中大兄が都を大津に移す 668年 唐が高句麗を滅ぼす 天智天皇(中大兄)…

岡田英弘『康煕帝の手紙』(1979)

これはまたべらぼうに面白い本だ。 岡田英弘『康煕帝の手紙』を読む。 藤原書店が単行本として今年1月に復刊するまで 幻の新書であった。 康煕帝の手紙 (1979年) (中公新書)作者: 岡田英弘出版社/メーカー: 中央公論社発売日: 1979/11メディア: 新書この商品…

岡田英弘『倭国の時代』(1976/2011ちくま文庫)

『歴史とはなにか』『世界史の誕生』『日本史の誕生』に続いて 岡田英弘『倭国の時代』を読む。 最初の三冊を読んでいる間は、 岡田の断定的な物言いに論理の飛躍を感じる箇所があった。 倭国の時代 (ちくま文庫)作者: 岡田英弘出版社/メーカー: 筑摩書房発…

宮崎市定『中国史(下)』(1978)(再読)

繰り返し読んでも そのたびになにか発見がある。 それが名著の条件である。 宮崎市定『中国史(下)』を再読する。 上巻に続き近世史北宋・遼から 最近世史人民共和国までを取り上げる。 中国史 下 (岩波全書 303)作者: 宮崎市定出版社/メーカー: 岩波書店発…

岡田英弘『日本史の誕生』(1994/2012文庫版)

岡田英弘『日本史の誕生』を読む。 通史の日本史概説ではない。 中国史、モンゴル史、満洲史を専門とする岡田が これまでの日本史の常識に挑む書だ。 いくつか僕の印象に残った箇所を引用する。 日本史の誕生―千三百年前の外圧が日本を作った (ちくま文庫)作…

岡田英弘『世界史の誕生ーモンゴルの発展と伝統』(1992/2011文庫)

岡田英弘『世界史の誕生』を読む。 以前読んだ『歴史とはなにか』と比べると、 参考文献紹介、論理の運びなどが丁寧で充実している。 モンゴルを中心に世界史を編む岡田の試みがよく理解できた。 世界史の誕生─モンゴルの発展と伝統 (ちくま文庫)作者: 岡田…