文学/小説/物語

100分de名著/『陰翳礼賛』—光と影が織りなす美(島田雅彦)

10月のEテレ「100分de名著/谷崎潤一郎スペシャル」もいよいよ最終回。 同居人は仕事に出ているので二人分の大王名著弁当を作って、 放送開始に備えます。 海苔おかかごはんと黒胡麻ごはんハーフ&ハーフ。 卵焼き(ウルシヤマで焼いてます)。ほぐし焼き銀…

松重豊『空洞のなかみ』(毎日新聞出版、2020)

クリッピングから 毎日新聞2020年10月24日朝刊 「今週の本棚」 松重豊(まつしげ ゆたか)さん 『空洞のなかみ』(毎日新聞出版・1650円) 空洞のなかみ作者:松重 豊発売日: 2020/10/24メディア: Kindle版 エッセイを書く役者は多いけれど、 短編小説に挑む…

辻村深月『傲慢と善良』(朝日新聞出版、2019)

物語の中にいったん入ってしまうと 頁をめくる手が止まらない。 秋の夜長とは言え、危険だなぁ、この人の作品は。 辻村深月(つじむら みづき)『傲慢と善良』(朝日新聞出版、2019)を読む。 傲慢と善良作者:辻村 深月発売日: 2019/03/05メディア: Kindle版…

100分de名著「谷崎潤一郎スペシャル」(講師:島田雅彦)

NHK Eテレ「100分de名著」聴講4ヶ月目になりました。 吉本隆明『共同幻想論』、ミヒャエル・エンデ『モモ』、 ダニエル・デフォー『ペストの記憶』に続き、10月は谷崎潤一郎スペシャル。 島田雅彦(作家、法政大学教授)が講師を務めます。 作品朗読は吹越満…

辻村深月『ツナグ』(新潮社、2010/新潮文庫、2012)

『かがみの孤城』で遅ればせながら僕もファンになった、作家・辻村深月。 図書館に予約していた『ツナグー想い人の心得』の順番が回ってきて読了し、 この作品も設定、ディテールが気に入った。 前作があることを知り、しめしめとまた借りてきた。 辻村深月…

宇佐見りん、最年少21歳で三島賞

高橋源一郎がレギュラーラジオ番組「飛ぶ教室」 (NHK第1、毎週金曜21:05-21:55)で激賞していて気になった作家。 名前を調べ直して覚えたら、産経の記事が目に留まった。 クリッピングから 産経新聞2020年9月28日朝刊 最年少で三島賞 宇佐見さん 「自分が納…

ロシア語の森を散策して3年経ちました

NHKラジオ語学講座「まいにちロシア語」応用編 「ロシア文学からの贈り物」(安岡治子先生)の受講を修了しました。 2017年10月〜2018年3月の再放送です。 3年前にロシア語を勉強し始めたとき、 入門編「大人のためのロシア語」(林田理惠先生)と並行して …

多和田葉子『地球にちりばめられて』(講談社、2018)

6/2付讀賣新聞朝刊のインタビュー(聞き手:文化部・待田晋哉)で 作者・多和田葉子は新作『星に仄(ほの)めかされて』について こう発言している。 この旅をする若者たちはまだ家族も、定職もない。 モラトリアムのような存在です。 社会の経済を支える柱…

イスマイル・カダレ『夢宮殿』(創元ライブラリ、1994)

アルバニアという国をご存知だろうか。 バルカン半島南西部に位置し、 北をモンテネグロ、コソボ、東を北マケドニア、 南をギリシャと国境を隣接する人口約300万人(2010)の国家である。 そのアルバニアにノーベル文学賞有力候補として 何度も名前を挙げら…

「流動分子」によって世界の文化交流は起きる(多和田葉子)

クリッピングから 讀賣新聞2020年6月2日朝刊 多和田葉子さん新刊『星に仄めかされて』 異端の越境者 つながり模索 小説『百年の散歩』が深く印象に残っている 多和田葉子さんのインタビューがビデオ会議システムを通じて届いた。 讀賣文化部・待田記者のタイ…

同志社講座「カフカ『城』を読む」第一期修了

同志社講座「佐藤優さん、中村うさぎさんとカフカ『城』を読む」 第一期が修了しました。 2019年10月開講、月1回、90分2コマのコースです。 カフカ未完の長編『城』を一章ずつ丹念に読み解いていきます。 (全回出席すると佐藤さんから修了証をもらえます。 …

辻村深月『東京會舘とわたし』(上・下)(毎日新聞出版、2016)

『かがみの孤城』が素晴らしかったので、 旧作を連読したいと思い図書館で借りてきた。 辻村深月『東京會舘とわたし』(上旧館、下新館) (毎日新聞出版、2016)を読む。 東京會舘とわたし(上)旧館作者:辻村深月出版社/メーカー: 毎日新聞出版発売日: 2016/…

高崎卓馬『オートリバース』(中央公論新社、2019)

松戸市立第六中学校。 二年生の同じクラスに同じ日に転校してきた チョクこと橋本直(なお)とタカシナこと高階良彦(よしひこ)。 学校も級友も面白くない二人は授業をさぼり、 アイドル小泉今日子の親衛隊に入ることを決める。 高崎卓馬『オートリバース』…

古谷田奈月『神前酔狂宴』(河出書房新社、2019)

クリッピングから 朝日新聞2019年8月1日夕刊 「虚飾」に尽くす快感と危うさ 古谷田奈月さん「神前酔狂宴」 婚礼、軍神、国家。 厳かな言葉は、小説を読むとひっくり返る。 古谷田(こやた)奈月さんの『神前酔狂宴(しんぜんすいきょうえん)』 (河出書房新…

小説を選ぶとき、ブッカー賞は頼りになる(小野正嗣)

クリッピングから 朝日新聞2019年6月26日朝刊 文芸時評 作家 小野正嗣 多様性 ぶつかり合ってこそ 文学賞の審査 人はどのようなきっかけで小説と出会い、 それが読みたくなるのだろうか。 小説の選択の指標として文学賞はどうだろうか。 僕がかなり頼りにな…

柚木麻子さん、直木賞取れるかな?

クリッピングから 朝日新聞2019年6月17日朝刊 直木賞 初の全候補女性 第161回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の 候補作が発表された。 選考会は7月17日、東京・築地の「新喜楽」で開かれる。 直木賞には窪美澄さん、原田マハさん、柚木麻子さんらが候…

村上春樹編訳『ある作家の夕刻—フィッツジェラルド後期作品集』(中央公論新社、2019)

スクラップブックから 朝日新聞2019年6月11日朝刊 中央公論新社6月の新刊・話題書(書籍広告) 村上春樹編訳『ある作家の夕刻—フィッツジェラルド後期作品集』 短篇小説のバラエティと、秀逸なエッセイ。 揺るぎなく美しいその筆致を、心ゆくまで味わう— 最…

2人の偉大な作家に出会えて、わたしは幸運ね(テス・ギャラガー)

スクラップブックから 朝日新聞2019年4月24日朝刊 文芸時評 作家 小野正嗣 「テキストの外」にある要因 3月末にアメリカのオレゴン州ポートランドで開催された AWPの年次大会に参加した。 AWP(引用者注:Association of Writers & Writing Programs)とは、…