生きる/死ぬ

ばあば、死んでるんじゃないかなあ(5歳の孫息子)

クリッピングから 朝日新聞2020年11月28日朝刊別刷「be」 読者投稿欄「いわせてもらお」 ◉よく気が回る 娘家族とレストランへ。 私が支払いをしていると、5歳の孫息子が 「ばあばが、皆の分払ってくれたのね。ありがとう」と言う。 「よく気がつくね。 ○○ち…

マジで歌舞伎町が死ぬと思った(マリモこと巻田隆之)

クリッピングから 讀賣新聞2020年10月26日朝刊 医療ルネサンス No7394 「夜の街」とよばれて 4⃣/8 ライバル同士 情報共有 小池都知事の、歌舞伎町など「夜の街」だけが コロナ感染拡大の「主犯」であるかのような主張に違和感を持っていた。 讀賣記事はホス…

辻村深月『ツナグ』(新潮社、2010/新潮文庫、2012)

『かがみの孤城』で遅ればせながら僕もファンになった、作家・辻村深月。 図書館に予約していた『ツナグー想い人の心得』の順番が回ってきて読了し、 この作品も設定、ディテールが気に入った。 前作があることを知り、しめしめとまた借りてきた。 辻村深月…

受話器もて絶句などとふことは無し(椎名昭雄)

クリッピングから 讀賣新聞2020年9月28日朝刊 読売歌壇(俵万智選) 今週は優秀作から3首、 好きだった歌を書き留めてみます。 宝物を秘めた箪笥の二段目は 心臓の位置そっと引き出す 高島市 宮園佳代美 箪笥の二段目は心臓の位置。 だから宝物が秘められて…

ふつうはあんな時にカップラーメンなんぞ、食べないだろう(小池真理子)

クリッピングから 朝日新聞2020年9月26日朝刊 小池真理子 月夜の森の梟(ふくろう) あの日のカップラーメン 遅い朝食を食べながら、 ぼんやり観(み)ていたテレビで、 七十歳のデニム姿の男性が街頭インタビューを受けていた。 あなたの人生で一番の波乱は…

辻村深月『ツナグ 想い人の心得』(新潮社、2019)

『かがみの孤城』を読んで、遅ればせのファンになった。 とっくに愛読者になっている人たちが大勢いるから、 図書館で予約を入れてもいつ借りられるか分からない。 でも、”ご縁”ができたとき、思いがけず手にするのも楽しいものだ。 辻村深月『ツナグ 想い人…

ダイヤモンド・カレーになっちゃうよ

僕の暮らす町では、 日本列島各地の豪雨、長雨の影響で野菜の値段が高騰している。 八百屋Sのおかみさんの話では ジャガイモの値段は5倍近くまではね上がり、 人参、玉ねぎも値上がり。 品不足が深刻になっている。 「カレーライスを作ろうとしたら、 ダイヤ…

ママ ながいきしてね 17さいまで(大和田泰心)

クリッピングから 讀賣新聞2020年5月22日朝刊 こどもの詩(平田俊子選) ながいきしてね 大和田泰心 ママ だいすきだから ながいきしてね ずっとずっと ながいきしてね 17さいまで (さいたま市・七里ふたばこども園年中) 泰心さんの知っている一番大きな数…

朝倉かすみ『平場(ひらば)の月』(光文社、2018)

地味な小説である。けれど、滋味のある小説である。 人生中盤を迎えた男女二人の物語。 朝倉かすみ『平場(ひらば)の月』(光文社、2018)を読む。 平場の月作者:朝倉かすみ発売日: 2018/12/13メディア: 単行本 平場を辞書で引くと、「一般の人たちの場」と…

人のやることはどれも命懸けなんだ(都甲幸治)

クリッピングから 朝日新聞2019年11月18日朝刊 折々のことば(鷲田清一選)第1643回 自分で気づいているかどうかにかかわらず、 人のやることはどれも命懸けなんだ 都甲幸治 将来のあてもないまま、 大好きなことをやっているんだからと、 絶望すれすれのと…

「ゴハン、ゴハン」、威張る姿も励みになる(高村晴美)

クリッピングから 朝日新聞2019年10月31日朝刊 読者投稿欄「ひととき」 助けたはずが救われて 札幌市 高村晴美 主婦 62歳 昨年の夏、近所の路地裏で 「ミャアーミャアー」と鳴いていた子猫を夫が拾ってきた。 真っ白な四肢、背中はグレー色、金色の瞳は好奇…

ストックホルムで水俣病の娘を見せた母

クリッピングから 讀賣新聞2019年10月14日朝刊 訃報 坂本フジエさん 94歳 (さかもと・ふじえ=胎児性水俣病患者・坂本しのぶさんの母) 水俣病 悲劇訴え (mainichi.jpより引用) 水俣病で4歳の長女を亡くし、 次女・しのぶさん(63)も胎児性水俣病患者とし…

世界のシステム全史を描く着想

クリッピングから 朝日新聞2019年9月13日朝刊 世界システム論 壮大な試み ウォーラーステインさんを悼む 川北稔・大阪大学名誉教授 ウォーラーステインが その主著『近代世界システム』第1巻を上梓(じょうし)した1974年には、 ベルリンの壁も、ソ連邦も厳…

老舗の古書店の棚が似合う本

クリッピングから 朝日新聞2019年9月11日朝刊 天性の自由人 核にはドイツ文学 池内紀さんを悼む 評論家・川本三郎 「困ったことがあったら夜中でもいいから電話してください」。 家内を亡くし一人暮らしをしている私に そう言って励ましてくれた池内紀さんが…

言霊って絶対あると思います(中川翔子)

クリッピングから 朝日新聞2019年9月12日朝刊 「若い世代 こう思う」 私を引っ張った言霊たち タレント 中川翔子さん 地獄の中学時代でした。 絵が好きなことを「キモい」と言われ、 いじめはエスカレート。 机に伏していると、皆が私の悪口を言っている気が…

資本主義に未来はあるか(イマニュエル・ウォーラーステイン)

クリッピングから 朝日新聞2019年9月4日朝刊 ウォーラーステインさん死去 米社会学者 「世界システム論」 近代の世界を一つのシステムとしてとらえる 「世界システム論」を提唱したアメリカの社会学者・歴史学者の イマニュエル・ウォーラーステインさんが8…

では若い人に席を譲ろう(池澤夏樹)

クリッピングから 朝日新聞2019年9月4日朝刊 池澤夏樹 終わりと始まり 身に染みる衰え 老いては若きに席を譲ろう まずは個人的な話。 自分が老いたと思う。それが日々実感される。 身体能力が少しずつ失われる。 基礎代謝が減るとはどういうことか。 食物と…

すごい隠居生活、池内紀

クリッピングから 讀賣新聞2019年9月5日朝刊 訃報 池内紀さん死去 78歳 ゲーテ翻訳やエッセー ゲーテやカフカの翻訳から上質なエッセーまで、 幅広く文筆活動を展開したドイツ文学者の 池内紀(いけうち・おさむ)さんが8月30日、 虚血性心不全で死去した。7…

佐藤優・中村うさぎ『死を語る』(PHP文庫、2017/毎日新聞出版、2015)

二人の対話の呼吸がいい。 お互い遠慮せず、歯に衣着せずに(でも、品は損なわずに) キャッチボールをしている様子が 観客席から眺めていても心地いいんだね。 佐藤優・中村うさぎ『死を語る』(PHP文庫、2017)を読む。 死を語る (PHP文庫)作者: 佐藤優,中…

民族的殺戮は美しい口実のもとになされる(アミン・マアルーフ)

クリッピングから 朝日新聞2019年6月19日朝刊 折々のことば 鷲田清一(第1496回) 民族的殺戮(さつりく)はつねに、 もっとも美しい口実—正義、平等、独立、人民の権利、 民主主義、特権に対する戦い—のもとになされる。 アミン・マアルーフ レバノン生まれ…

朱野帰子『真壁家の相続』(双葉社、2015)

何冊か読むうちに、「ああ、この人はうまい人なんだなぁ」と分かった。 『わたし、定時で帰ります』一作で消えてしまう作家ではない、と。 朱野帰子『真壁家の相続』(双葉社、2015)を読む。 真壁家の相続作者: 朱野帰子出版社/メーカー: 双葉社発売日: 201…

15歳からアビーロードで働いてきた録音技師

スクラップブックから 朝日新聞2018年10月4日朝刊 訃報 ジェフ・エメリックさん (ビートルズのアルバムの録音技師) 米紙バラエティーによると、 心臓発作で死去、72歳。 45年生まれ。 15歳の時にロンドンのアビーロード・スタジオで 録音技師の見習いに。 ビ…

人の死を悼む時間をメディアは許さない(谷川俊太郎)

スクラップブックから 朝日新聞2018年9月12日朝刊 語る—人生の贈りもの— 死んだらすぐ取材 気に入らない 詩人 谷川俊太郎 (第13回) 《2017年にはもう一人の親友、 詩人の大岡信さんが死去した》 (略) 《亡くなったときは大岡さんと向き合いたいと メディ…

天国には行けないんですもの(岸井慶子)

スクラップブックから 朝日新聞2018年9月5日朝刊 読者投稿欄「ひととき」 会いたいです 東京都練馬区 岸井慶子(教員、69歳) 二度目の単身赴任ですね。 もう慣れましたか? たまには顔を見せてください。 子どもたちも、猫のジョリーも、 きっと会いたがっ…

水俣がエチオピアの現在につながる(松村圭一郎)

スクラップブックから 朝日新聞2018年8月28日朝刊 松村圭一郎のフィールド手帳 エチオピアと水俣 つなぐ線 今春、岡山の本屋で 石牟礼道子の『苦界浄土』を読む会をはじめた。 いまこの作品に向き合うべきだという直感があった。 先日、帰省の折にはじめて水…

相手のことを考えられる人になりたい(小粼未来翔)

スクラップブックから 朝日新聞2018年7月27日朝刊 読者投稿欄「声(Voice)/若い世代」 ぼくに大黒柱の価値あるか 小学生 小粼 未来翔(あすか)(茨城県 11) 一家の大黒柱の「お父さん」が亡くなった。 今、ぼくにとって大きく考えさせられることがありま…

石牟礼道子「生死(しょうじ)の奥から」(2010)

池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 III-04 石牟礼道子『苦海浄土』をK図書館から借りてきた。 苦海浄土 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集)作者: 石牟礼道子出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2011/01/08メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 78回…

猫の思い出二篇

スクラップブックから 讀賣新聞2018年4月12日朝刊 こどもの詩 いつもの想い出 先崎(まつさき)祐理 ポカポカひだまりの中 いつもそこにいたのに トントントン 指先でガラスをたたいて ただいまの合図 でも もうそれは キラキラ光るあたたかい思い出 (茨城…

決して忘れられない16歳の夏(大谷光弘)

スクラップブックから 朝日新聞2018年4月16日朝刊 月1回掲載「声—語りつぐ戦争」 特攻中止命令 終戦の2日前 無職 大谷光弘(広島県 89) 13日(引用者注:1945年8月)。 いよいよ出撃、別れの日。 私と運命を共にする通称「赤とんぼ」に乗り込んだ。 本来は…

海岸のたき火で骨にしてもらいたい(椎名誠)

スクラップブックから 朝日新聞2018年2月9日朝刊 語る—人生の贈りもの— 作家 椎名誠(第14回) 僕はずっと不眠症で、 約40年前から精神科に通っていて 睡眠薬をもらって飲んでいます。 ただ体は昔から健康優良児で頑健。 それだけに肉体の衰えはつらい。 わ…